2019年3月27日水曜日

人は一人では……


 『人は一人では生きていけない』というのは、きっと正しいことです。
 なぜなら、人は常に一人ではないからです。どんな時でも。
 だから、孤独という幻に落ちることは不可能なのですが……それを可能にしてしまうのが、人という魔法使いなんですよね。 






肯定
 テツガクちゃん、『人は一人では生きていけない』という言葉を知っている?
 

テツガクちゃん
 聞いたことがあります。
 
 たしかに、私達は様々な人の支えを当たり前のように受け取っています。
 ですから、一人では生きていけない、と私も思います。


肯定
 そうだね。
 僕もそうだよ。いろんな人の支えのお蔭で今がある。
 今だって、ガクちゃんの支えがあるから、この会話ができる。

 だから、こんなことを考えることがある。
 『人は一人では生きていけない』から、一人にはならないようにしないと、って。

 でもね。
 そもそも、人は一人ではないんだよ。
 

テツガクちゃん
 たしかに、好きな作品を楽しんでいる時の肯定さんは、まるで別人のようですよね!
 肯定さんの中には、何人の自分が住んでいるのですか!?


肯定
 えっ!? 僕って別人のような時があるの!?
 まあ、僕がどうなっているのかは置いておいて。

 そう、
きっと誰もが、別の自分を持っていると思う。
 『トム・ゴードンに恋した少女』のように空想の存在と話をしたり、別人のような自分がいたり。
 
 だから、心の中で葛藤が生まれることもあるのだろう。
 なぜ、一人なのに葛藤するのか? 
 それは、人が一人ではないから。
 様々な考え方をする自分がいるから、葛藤するのだろう。



テツガクちゃん
 そうですね。
 欲しいものがあった時。

 それを手に入れるように訴える私と、そうしなくていいと訴える別の私。
 その間に挟まれることがあります!

 そして、また違う考えを訴える私が現れます。


 例えば……。

 今晩ステーキが食べたいんですけど、どうでしょうか? と交渉してみたり。
 これは中間色の曖昧さに任せる、という考えです。
 
 そんな自分をよく観察してみると、私の中にもいろんな考えを持った私がいますね。
 それに気づけると、たしかに人は一人ではないのかもしれません!


 当たり前すぎて、見失いそうですが。


肯定
 そうなんだよ。
 簡単な当たり前。人は常に一人ではない。
 そう信じることができれば、孤独なんて幻を恐れることはないのだろう。
 
 なぜなら、誰しも孤独という深淵に落ちることは不可能だから。
 既に人は一人でないのに、どうやって孤独という一人ぼっちの世界に入るのだろうか?

 しかし、人が使う魔法はとても面白いもので。

 この幻の世界にも入ることができる。
 簡単な当たり前、『人は一人ではない』という当たり前を見失い。
 『自分は一人だ』と信じ、孤独という深淵に入っていく。

 そういう経験も、きっと必要でしょう。
 井戸の底に落ちないと、這い上がることを学べないように。

 だけど、孤独という幻を恐れて、赤の他人を必要以上に崇拝しなくても大丈夫でしょう。
 仲間や友達がいなくなってしまう……そんな心配は無用です。

 本当は、あなたも気づいていますよね?
 自分の感覚の方が、他人の意見よりもとても大切な存在であることに。

 その感覚が出す合図を掴めたら、どんな通学路も迷わずに歩き続けられる。


 例えそれが、誰もいない道でも、自分の感覚がその道を示すのなら大丈夫。
 全ての他人にさようならを言っても。

 と、永い話に付き合ってもらったお礼に、今からステーキを食べに行きましょうか? ガクちゃん。




 

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それでは、また次の機会にお会いしましょう。

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グリフィン理論

  いつだって10月だし11月だし3月なんだ。  このグリフィンさんの教えは贈り物。  誰だってジェイソン・ボーンだしジェームズ・エドワーズ。  ロバート・アンジャーでローン・レンジャー。  そして、ネオでもある……忘れているだけで。