2020年10月28日水曜日

湯水のように


 湯水のように。
 そう例える、ショウジとセンサク。
 しかし、二人が伝えたい気持ちは別々の形。
 結局、流し使うべきか、溜め込むべきか。
 迷ってしまったら、棄てちゃいな。





テツガクちゃん
 湯水のように。
 きっと、その例えには。
 このような昔話があるはずです。

 ショウジは商いの才があり。
 しかし、稼いだお金を使う才はなく。
 積み重なり、歪んだ大金にカビが生えていた。

 それに気づいたセンサクは、ショウジに提案をします。
 
 センサク
 ショウジさん、お金というのは溜め込んでも腐ってしまうのさ。
 ほら、湯や水だってそうだろう?
 流れず、溜まれば腐ってしまう。

 だから、お金は湯水のように使って流してしまえ。

 そうすれば、廻り返ってくる。

 ショウジはその提案どおり。
 お金を湯水のように使い流しました。


肯定
 ほんの少し昔に、信じられていたらしい。
 そんな例えだね。

 だけど、ガクちゃんのことだから。
 その奥の方にも、気づいたんじゃない?

 この話の続きとかさ。


テツガクちゃん
 さすが、肯定さんです!
 そうです、この話には続きがあります。

 それから、人々が時空の中を流れるように進み。
 また別の時代の話です。
  
 センサクは商いの才があり。
 しかし、稼いだお金を管理する才はなく。
 万年空っぽでお腹をすかせた、寂しげな金庫が忘れられたまま。

 それに気づいたショウジは、センサクに提案をします。

 ショウジ
 センサクさん、お金を湯水のように扱ってはいけないよ。
 ほら、金庫も泣いている。
 空っぽな金庫じゃ、いざって時に困ってしまう。

 だから、大切なお金は。
 湯水のように使わず、金庫にしまわないと。

 そうすれば、いざって時も助かる。

 センサクはその提案どおり。
 お金を湯水のように使うのを止め、金庫に預けました。


肯定
 それが、今、この瞬間にある。
 湯水のように、という例えに近い気がする。

 それにしても。
 この昔話、面白いね。
 どこか不可思議な香りもするし。

 ねえ、ガクちゃん?


テツガクちゃん
 そうですね。
 とても不可思議ですね。

 湯水のように。
 使っていいのか、使ってはならぬのか。
 
 湯水のように。
 巡って戻ってくるのか、二度と戻らないのか。

 それぞれの考え方の違い。
 それが、一つの言葉の中に同時にあって。
 それは、『存在と同時に存在しない』。

 そんな幻ですね。


肯定
 幻だね。

 きっと、ショウジもセンサクも同じ人物なんだろう。
 どちらも同じ例え。
 湯水のように、という言葉に気持ちを込めて。

 お金を腐らせ困ったセンサクは、ショウジに流せと提案して。
 お金を流し過ぎて困ったショウジは、センサクに溜め込めと提案して。

 そんな滑稽な話が繰り返されていく。
 自分が自分に向かって。
 湯水のように、という言葉をかけている。

 もし、あなたなら。
 湯水のように。
 その言葉に、どんな気持ちを込めて。
 どこかにいる、自分に似た誰かに届けますか?





それでは、また次の機会にお会いしましょう。











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グリフィン理論

  いつだって10月だし11月だし3月なんだ。  このグリフィンさんの教えは贈り物。  誰だってジェイソン・ボーンだしジェームズ・エドワーズ。  ロバート・アンジャーでローン・レンジャー。  そして、ネオでもある……忘れているだけで。