イエスタデイの中にいる

　みんな、今に生きている。
　そう誰かに教え説かれ。
　明日を信じ始める――。
　だけど、本当はイエスタデイの中にいる。
　確かに思える全ては昨日。





肯定
　この世に来た人は。
　様々な事を誰かから教え説かれる。

　その一つ。
　みんな、今に生きている。
　みんな、明日へ進んでいる。

　そうやって明日を信じ始める。
　だけど、本当は――。


テツガクちゃん
　イエスタデイの中にいるんです。
　確かに思える全ては昨日。

　昨日、想像した半分と。
　昨日、想像できなかった半分。
　それらがある。

　昨日とは違うように思える今。
　そこで、過去未来に現在。
　そうスプーンを置きますが――。

　本当はそんなスプーンも。
　境界線もありません。
　今は昔で、夢が今。


肯定
　そう認め難く許し難い。
　まさか、ずぅーっと昨日の中にいる。
　だなんて事実、受け入れ難い。

　自分達は先へ進んでいる。
　未来へ進んでいる。
　成長している！

　そう信じたい――。
　僕は最初からそう信じたくもない。

　だからか。
　やっと、今になって気づいた。
　思い出した。

　全部、イエスタデイだ。
　確かに思える全ては昨日だ。

　昨日考えた半分を今して。
　昨日想像もできなかった半分が今にある。
　そういう記憶の海の中にいる。


テツガクちゃん
　本の中の物語を読むように。
　いつかの記憶を辿っている。

　その気になればページを飛ばしたり。
　描き換えられるので。
　実感はないのかもしれませんが。
　過去だって未来同様に変わるものです。
　いつかの記憶ですら。

　ただ、壁が教え説くんです。
　過去や記憶は変わらない。
　それがゲンジツだと、足枷を教え説きますが――。
　それでも、昨日ですら変わり続けています。

　それで重要なのが――。
　今は昔、イエスタデイなら。
　どこから飛び込んだのか、という事です。
　いつから記憶の海に飛び込んだのか？

　今は昔で、夢が今。
　どんな今も昔になり夢のように遠くなる。
　そんな気がしますが――まだ夢から覚めていません。

　今もイエスタデイって夢の中。
　ですが、何れ壁が扉だと思い出します。
　自分で扉に気づいてしまう朝が来ます。

　その時、信じてきた全て。
　確かに思えた全てが昨日だった。
　未来だと思ったものすらイエスタデイだったと。
　イエスタデイは消えていなかったと。

　ただ、イエスタデイを明日だと信じてきた。
　昨日に留まったまま、昨日を探していた。
　悲劇のような喜劇。

　今こそ、イエスタデイを迎え入れましょう。
　突然、いつかの昨日がやって来る。
　ITを覚えている、あなたのもとに。

　今度は明日だなんて言わない事です。

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それでは、また次の機会にお会いしましょう。