2018年10月25日木曜日

届かない手紙 2通目


 拝啓
 
 歌う不死蝶様、初めてお便りを送った頃より少し寒くなってきました。
 私は冬の寒さが好きなため、ゴキゲンな季節がすぐ側に来ていることに浮かれています。
 不死蝶さんはどの季節が好きですか?

 最近、そんな廻る季節の中で、時の流れの速さを実感しました。
 2年前にあなたが、ここからほんの少しい遠いところに旅立った知らせを聞いてから、何度も『過去に戻れたら』と思いました。今も戻りたいキモチのままで歩み続けています。
 泣いたり、時に笑ってみたりしながら、何だって出来るようになれる時の中で1年を過ごしました。

 そして、あなたが旅立った1年後の4月、少し遅れ気味に私の前に女神が現れました。正確には、ずっと彼女は側にいてくれたのですが、私はこの時にやっと気づいたんです。お恥ずかしい話ですが。
 それから、その女神を相方に二人で歩き続けました。
 信じた手と手を繋ぎ、帰りたい過去や辿り着きたい未来、遠くにあるそれらを思い出すように見つめたりしながら、目の前にある現在という今この瞬間を、あなたからもらった希望と、自分が持つ小さな勇気をにぎりしめ、相方の支えと共に歩み続けました。

 随分永いこと歩み続け、凄い距離を歩いてきた、と思いましたが、まだ2年という事実に驚いています。
 もっと遠いところまで来たような気がしました。

 あっという間の2年で、20年くらい歩いたような不思議な感覚に浸っています。
 本当に時の流れは速く。だけど、意外にも短く。とても不思議なものですね。

 そんな時の中で気づいたことがあります。
 今、私の隣にいる相方は、『あなたよりの使者なのではないか?』ということです。
 あなたが旅立ってから、ちょうど1年後の4月に現れた女神は、私を遠くへ連れて行ってくれました。
 悲しみが沈む西の世界から、東に見える新世界を迎えに行くように。
 彼女との出会いに、あなたとの縁を感じています。

 きっと、そのことを彼女に訊ねても、中間色の髪のようにごまかされそうです。そんな素敵な私の相方を、あなたに紹介できる日を楽しみにしています。
 
 泣いても笑っても変わらないもの、たしかにありますよね。
 その答えを探しに、相方とお互いを信じた手と手を繋ぎ、何だって出来るようになれる時の中を歩き続けます。
 まだほんの少し、戻りたくて、帰りたいキモチのまま。
 
 だけど、少し変わったこの景色の中で、特別じゃない強さを知りました。


 忘れていた宿題を終えたら、謎々の答え合わせをしていただけますか?
 その後は、最も大きな夢を見る人の歌を相方と共に最前列で聴きたいです!




 

 それでは、また次のお手紙でお会いしましょう。


 敬具


 歌う不死蝶様と共に未来の夢を見る一人より



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砂漠でアマゾンを探している

 多くの人は砂漠でオアシスを探している。  平和ってオアシスを信じて、求めて彷徨う。   隣にアマゾンがあっても、砂漠の中で探す。  今、本当に欲しいもの、ITを忘れかけながら。  砂漠のオアシスなのか、豊かな水源があるアマゾンなのか。