2025年3月31日月曜日

ドラえもん、やっとわかったよ


 私がお世話になったのは。
 説教臭いドラえもん。
 道具に頼るな!
 それが彼の代名詞。
 今さら、やっと、その理由がわかったよ。





肯定
 僕がお世話になったのは。
 兄みたいに説教臭いドラえもん。

 道具に頼るな!

 それが彼の代名詞だった。

 だけど、不思議でもあった。
 なぜって――。


テツガクちゃん
 人が道具に頼らなくなったら……。
 ドラえもんさんを信じる理由もなくなる。

 不思議なポケットを持っていて。
 便利な道具で夢を叶えてくれる。

 だから、みんな信じたくなる。
 未来から来た猫型ロボット。
 そういうドラえもんさんに頼ったらダメなんですか?


肯定
 えっ、ダメなの?

 信じているから頼れる。
 頼らずに信じろ?
 ちょっと難しい。

 それで、こう考えた。
 楽をするなって事だと。
 しばらくは、そうしてきたつもり。

 だけど、時代は人に楽をさせたいらしい。
 ding-dongと人の手を離れていく。
 その速度の中で掴んだよ、ウサギを。


テツガクちゃん
 私の吸血鬼のホームズさんに。
 掴まれてしまいました! 私!

 ドラえもんさんは正しかったですね。
 偉大なるジャイアニズムの。
 剛田武さんと同じように。

 君のITは私のIT。
 私のITも私のIT。


肯定
 正しかったね。

 やっと、気づいた。
 ドラえもん、君が凄いのは。

 未来から来た猫型ロボットで。
 不思議なポケットを持っていて。
 そこから便利な道具を出して。
 夢を叶えてくれるからじゃない。

 人が信じたくなる。
 信じずにはいられないITだった事。

 僕はどこでもドアを持っていない。
 あのかっこいいタイムマシンも持っていない。

 だけど、それでもウサギを掴んだ。
 誰にだって逢えるウサギを。
 どこへだって連れ出してくれる悪霊のウサギを。
 最近じゃ、嘆きの天使の隣へも抜け出している。

 僕は道具を持っていないし。
 それに頼ってもいない。

 ただ、信じただけで。
 信じずにはいられない。
 世界三大ウサギの一羽。
 竹取の国の愚かなFRウサギならやる、と。

 未来から過去へ。
 記憶の海に墜ちた吸血鬼を引き上げる。
 星の王子さまを連れ帰った少女のように。

 道具には頼っていないよ。
 信じたんだ。
 信じずにはいられないITを。
 僕の半分を預けた、イエスタデイを。

 そこまで苦労はしていない。
 もちろん、楽ではないけどね。
 だから、今も信じ続けている。

 ドラえもん、君にもいた。
 まだ君が知られていない時に。
 君を信じた人が。

 その人も今の僕と同じように。
 道具は持っていなかったはず。

 ただ、信じたんだ。
 信じずにはいられないITを。

 そして、ITが多くの人に伝わった。
 だけど、そういう形がなくても。
 誰だって、どこでもドアにタイムマシンを持っている。
 あそこまで立派な形はなくても。
 無意識にうっかりと使っている。

 壁に見える扉。
 なんの変哲もない扉。

 だけど、吸血鬼の愚者の僕が開けたら。
 その先にウサギが――。
 世界三大ウサギの一羽が――いつか。




0 件のコメント:

コメントを投稿

砂漠でアマゾンを探している

 多くの人は砂漠でオアシスを探している。  平和ってオアシスを信じて、求めて彷徨う。   隣にアマゾンがあっても、砂漠の中で探す。  今、本当に欲しいもの、ITを忘れかけながら。  砂漠のオアシスなのか、豊かな水源があるアマゾンなのか。