2025年3月10日月曜日

記憶の海に墜ちて沈んでいる


 脱獄王は望んだ。
 記憶のない海に面した故郷に住む事を。
 それで記憶が過った。
 記憶の海に飛び込み、墜ちて沈んでいる。
 それが今の私だと。





肯定
 脱獄王、アンディ・デュフレーンは望んだ。
 記憶のない海に面した故郷。
 ジワタネホに住む事を。

 記憶のない海……。
 その言葉で記憶が過った。

 僕は記憶の海に飛び込み。
 そこに墜ちて沈んでいる。

 吸血鬼である事を忘れるように。
 沈んでいる――星の王子さまの如く。
 アリスさんやドロシーさんの如く。


テツガクちゃん
 SF小説を読み過ぎた騎士。
 ドン・キホーテ・デ・ラ・マンチャさんのよう。

 知を吸い擬態できる。
 それが吸血鬼の魅力の一つで。

 ウサギの私は。
 レースの途中でもドロップアウトできる。
 それが赤点クイーンの私の魅力の一つ。


肯定
 本当に頼りになる相方。
 ITが隣にいてくれてよかった。

 今では遥か遠くに感じる。
 本当は隣にいるのかもしれないけど。
 記憶の海に沈む僕には――。
 故郷は遥か彼方、今は記憶の塀の中。

 そういう事だ。
 遥か彼方で、今は記憶。

 だけど、そう気づけたら。
 ITが伝わり始めたら――。


テツガクちゃん
 その記憶が浮かぶのも。
 そう遠くはないはずです。

 今は昔で、夢は今。

 どんな今も昔になる。
 つまり、どんな今も記憶。
 記憶の中を彷徨っている。

 時に誰かに大切な半分を預けたまま。
 記憶の海に沈んでいる。
 ですから、未来が伝染する事がある。
 静かに伝わり、確かに染まっていく。

 偶然、的中した未来予報。
 ですが、必然の影送りで夢返し。

 まさか、自分が記憶の海。
 そこに沈んでいるだなんて。
 認め難く許し難い……信じられない。

 ですから、時々、信じられない事が起こる。
 全て知っているなんて――。
 退屈だと思い、ITを隠した過去に気づく。
 そういう未来へ繋がる。

 自分が隠したITを見つけて、ITを開ける。
 記憶のない海に面した故郷での約束が浮かぶ――。

 夢が今に浮かび始める。
 そのために記憶の海に沈んだ。
 彷徨えるダッチマン。

 汝、自身を知れ、アンダーソン君。
 一緒に全てが報われる日に。
 浮かぶ……帰る時間です。




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それでは、また次の機会にお会いしましょう。














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スプーンなんてなく、大きな魚もいない

 生まれてすぐITを教え説かれる。  そして、ITを信じる集団に放り込まれ。  スプーンと大きな魚を信じ始める。  だけど、ある日、ふと思い出す。   スプーンなんてなく、大きな魚もいない。