当たり前は、当たり前のように背後を取る詐欺師

　当たり前は、当たり前のように人の背後を取ります。
　例えば、あなたが今何をしているのか、それを答えましょう。
　あなたは今、『窓』を見ていますね？



 


 
テツガクちゃん
　気づいてしまいました！　私！
　当たり前は、『当たり前のように背後を取る詐欺師』ということに！


肯定
　気づいてしまいましたか……その事実に。

　そうなんだよ。詐欺に嘘は必要ないんだよ。
　その当たり前があれば、人を簡単に騙し欺けるんだよ。

　なぜなら、人はどうしても当たり前を見失うから。
　『そんなことは知っている』と思ってくれたら、詐欺の成功率は跳ね上がるだろうね。


テツガクちゃん
　少し試してみましょうか？

　例えば、今この文章を読んでくださっているあなたが、『今、何をしているか』を答えましょう。

　きっと、あなたは今、『窓』を見ていますね？
　『液晶ディスプレイ』という窓を。

　そうです。この話題を読むには、液晶ディスプレイという窓を覗く必要があり、それは当たり前のことです。
　ですが、その当たり前はとても見失いやすく、他の部分に意識がいきます。

　当たり前はそうやって、当たり前のようにあなたの背後を取るのです。


肯定
　これは物語でも同じだよね。
　ページという窓を見ている。
　もっと広い視点で考えると、人は目という窓から世界を覗いている、とも言える。

　常に窓を覗いていて、それが当たり前のことだから、そのことを見失う。

　親の有り難みや友達の有り難みなど様々な当たり前は、それを失わないと気づかないことが多い。
　もちろん、そのことを常に理解している人もいるでしょう。
　そういう人は詐欺師に惑わされる心配はなさそうです。

　ただ、当たり前はとても身近にありながら、とても見失いやすいんです。
　こんな簡単な事実ですら、明日には忘れているかもしれません。

　それが『当たり前』という詐欺師です。


テツガクちゃん
　そうですね。
　よく当たり前に惑わされてしまいますが、それが地球という丸い惑星に住む私達の定めですよね。
　なんせ惑星ですから。惑わす星ですからね。

　惑星に住む以上、その定めの下で旅を続けることになりそうですね。
　惑わされ続け、何が起こるかわからない。
　時々、天使と悪魔の奇跡も起きる。
　特別だけど普通な当たり前は、今日も人を惑わす。

　だけど、その当たり前は、実はとても優しいんです。
　優しいから、当たり前のように人を騙すのです。きっと。

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それでは、また次の機会にお会いしましょう。