拝啓
歌う不死蝶様、エイトビートな季節も過ぎ、今は9月の秋の中です。
私は今年の夏の終わりに稲妻を見ました。
それは突き抜けたきり、もう、それきり、二度と会えない、一度きりの虹の稲妻です。
私の心の奥の方を突き抜けた。
あの稲妻は二つの『それきり』を残していきました。
一度きりの瞬間を記録した円盤の中で待つ、永遠に変わらない唯一の『それきり』な映像。
そして、その映像を何度も見ている私の中にある、無二の『それきり』な気持ちと秘密。
初めて、虹の稲妻を見た時の気持ちと秘密。二回目に見た気持ちと秘密、三回目に見た……。
そうやって、積み重ねていく気持ちと秘密は、どれも『それきり』なものです。
決して同じではない、もう会えない、中間色の稲妻です。
変わらない唯一の映像。
変わっていく無二の私。
この二つが見せる、ほんの少し形が違う『唯一無二』の『それきり』。
そんな虹の稲妻が、どこまでも突き抜けていく。
突き抜けたきり、もう、それきり。
そんな最高の『それきり』な景色を見ながら、二つの秘密と出逢いました。
何度、聴いても飽きずに、頭の中で回り続ける歌。
無意識の無宙を自由に飛び回る、あの歌。
蝶々のように自由に私の中を飛び回る、『サンダーボルト』。
それが、私の無宙を最初に飛んだ歌を連れてきました。
『Butter-Fly』
音速で突き抜けたあの歌、光速で駆け抜けたあの映像。
過ぎ去り、来週まで会えない、稲妻。
だけど、あの時の私には、見えない稲妻が見えていました。
私の無宙の中で、あの音速の歌とあの光速の映像が、自由に曖昧なまま飛び続けていました。
その幽かな霊の灯りを頼りに、一週間後の稲妻を目指す、『雷雨決行』の旅でした。
稲妻の音や光が見えなくても。
私の無宙の中でしっかり飛び回る。
あの自由で曖昧な、蝶々のような秘密。
見えないから辿り着けない、とは限らない。
遠い距離も一瞬で突き抜けてしまう、『電光石火』の稲妻の秘密。
形の違う秘密が星座のように繋がり、始まりの原点の秘密。
その星を突き抜けました。
忘れかけていた気持ちの秘密を突き抜けた。
新しい秘密、虹の稲妻。
それから、もう一つの秘密。
稲妻に出逢えた導きの風です。
私の予定帳には、虹の稲妻に出会う予定はありませんでした。
ほんの少し、私のがま口が固かったもので……。
そんな固い口のがま口が、ほんの少し緩み、私は何に会おうか、と考えました。
会いたいものがたくさんあり、悩み困り果てたところに、風が吹きました。
その風は私を稲妻へ導きました。
『サンダーボルト』が稲妻なのか。
二度と会えない稲妻なのか。
その答えを知りたくなる、そんな気持ちを届ける風でした。
明日の予定もわかない。
何がこの空に届くのかもわからない。
ただ、わかっていることは、風が何かに導く。
大切な何かに出逢えるように。
私はそんな『Mr.ジョーンズ』です。
大切な秘密と出逢った私は、風の故郷を思い出しました。
この風は、ほんの少し離れた場所で、羽ばたく蝶々の軌跡。
いつか軌跡の風や蝶々雲ではなく、自由に羽ばたく蝶々に出逢えたら……。
今はまだ見えず、逢えませんが、私には稲妻が見えました。
ほんの少しだけ離れた場所から、美しく綺麗な稲妻が確かに見えました。
きっと、あの稲妻と風の故郷の距離は同じです。
決して遠い場所ではなく、ほんの少しだけ離れた場所。
実は、ありえないほど近い場所で羽ばたく蝶々。
そういう神話を思い出し、今も信じています。
神話を信じ、過未飛行機を飛ばす新人類、クロマニョン人。
歌う不死蝶さん、風の故郷、フロンティアにも虹の稲妻は届きましたか?
突き抜けていく。
突き抜けていく。
突き抜けたきり。
もう、それきり。
二度と会えない、一度きりの虹の稲妻。
歌う不死蝶さんが届けてくださった、あの風。
私はその風にのって、虹の稲妻に出逢えました。
もし、歌う不死蝶さんも、同じ稲妻を見れたのであれば、最幸です。
発火点を過ぎ、バチバチな導火線。
くすぶっていた心も、空回りの気持ちも、あったかい炎で走り続けられそうです。
いつもステキな風をありがとうございます。
それでは、また次のお手紙でお会いしましょう。
敬具
歌う不死蝶様と共に未来の夢を見る一人より
敬具
歌う不死蝶様と共に未来の夢を見る一人より
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