メビウスの輪を描く人生

　人生は『メビウスの輪』に、ほんの少し似ています。
　表と裏、その二つが『存在と同時に存在しない』、中間色のような状態。
　もし、それが表と裏に別れてしまったら……。


 



テツガクちゃん
　気づいてしまいました！　私！
　人生はメビウスの輪に似ていることに！

　起きている時間が表とすれば、寝ている時間が裏。
　そんなメビウスの輪です。


肯定
　なるほど。
　今この瞬間が表で、寝て見る夢の中が裏という感じかな？
　

テツガクちゃん
　そうです！

　なぜ、人は睡眠を取らないと危険なのか。
　それは、『メビウスの輪が分離してしまうから』と私は考えています。


肯定
　分離？


テツガクちゃん
　分離です！
　メビウスの輪は、どちらが表か裏か分かりません。
　そんな中間色の状態、『存在と同時に存在しない』状態、それがメビウスの輪です。

　私達のこの時間もそうです。
　本当に今、この瞬間が、起きてる表の時間だと言えるのでしょうか？
　明日、目が覚めた時、この瞬間を夢だったと思うことがない、と言いきれるのでしょうか？


肯定
　それは難しいね。
　過去の記憶と夢の記憶って、お互い曖昧で似ているところがあるから。
　曖昧に変わっていくスピードが違うだけで、どちらも曖昧な記憶。
　
　そういう意味では、今この瞬間が、本当に表の瞬間とは言い切れないね。
　あなたは今、夢の中でこの会話を見ているのかもしれない。


テツガクちゃん
　そんな表か裏か分からない、中間色の状態。
　きっと、そのメビウスの輪を描くために、睡眠が必要なんですよ！

　起きている時間と寝ている時間を繰り返す、ロックンロール。
　それがメビウスの輪を描く。

　ですが、どちらか片方になると、そのバランスが崩れ、輪は分離し二つになってしまいます。
　表か裏。この二つに。

　そうなると中間色ではなく、白と黒の世界になってしまいます。
　モノクロではありません。ただ、白と黒がある世界です。


肯定　
　なるほど、睡眠が必要な理由は、メビウスの輪を描くためね。
　曖昧な『存在と同時に存在しない』状態を維持するために、か……。

　その説、面白いね！

　白と黒の中間色がない。
　ただの白と黒の世界もいいけど、僕は中間色の世界が好きだよ。
　起きているのか、寝ているのか。
　夢を外から見ているのか、夢の中にいるのか。

　そんな中間色で、曖昧なメビウスの輪。
　それを描くように歩き続ける人生もいいね。

　あなたはどうですか？

　白と黒、表と裏、分離した二つの世界。
　様々なものが『存在と同時に存在しない』、中間色のメビウスの輪の世界。

　今、どちらの世界の景色を見ているのでしょうか？ 

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それでは、また次の機会にお会いしましょう。