2019年10月2日水曜日

トム・ゴードン効果


 読者を作家に変えてしまう、奇術師の魔法。
 『トム・ゴードン効果』。
 全ては、『あらすじ』という呪文が決める、ステキな魔法です。
 
 
 
 
 
肯定
 昔、ガクちゃんが気づいた、あの現象。

 読者を作家に変えてしまう、奇術師の魔法。
 あれを『トム・ゴードン効果』と呼んでもいいかな?


テツガクちゃん
 ステキな名前ですね!
 肯定さんは最高の命名士です。

 『トム・ゴードン効果』。

 奇術師がかけた、魔法の時間。
 自分の中にいる、作家の幻影が目覚める時。
 それは最高にステキな時間です。


肯定
 最高にステキな瞬間だね。

 道の先に何が待っているのか、わからない。
 その瞬間に様々な物語を描かせる。

 自分の中で、普段は眠っている作家が起きてしまう。
 そんな奇術を巧みに操る奇術師。

 全ては、『あらすじ』で決まる。
 最初の一歩を踏み出させる、その『あらすじ』でね。


テツガクちゃん
 そうですね。
 全ての物語は『あらすじ』で決まる。
 古くから伝わる、当たり前です。

 ですが、歪みやすい当たり前です。
 歪み、よじれ、ねじれ、急旋回して、揺れて、乱れる。
 時空を飛ぶ、伝説の過未飛行機の軌道のように。


肯定
 よく歪むね。

 歪み過ぎて、もっと歪ませた方がいいのかもしれない。
 そう信じてみたり。

 さらに、よじれやねじれを入れてみたり。
 急旋回の回数も増やしたり。
 揺らして、乱れさせたりね。

 だけど、過未飛行機の目的は、その軌道の形ではない。
 ただ、飛ぶことにあったはず。

 当たり前は歪んでいく。
 あらすじも歪んでいく。

 歪まずにあるのは、『トム・ゴードン効果』。

 どんなに高度、高尚、高品質な『あらすじ』も。
 誰にでも伝わり、共に何かを感じられる。
 そんな『あらすじ』には敵わない。


テツガクちゃん
 敵いませんね。

 高度、高尚、高品質なステーキよりも。
 家のフライパンで焼いたステーキの方が最高です。
 
 その方が、肯定さんとの物語を楽しめますから。

 誰もが持っている、作家の幻影。
 それを見せる『トム・ゴードン効果』は、歪まずに在り続けます。
 見失うことはあっても、消えてしまわない魔法。
 それは、何もなければないほど、大きな力を持つ魔法です。
 
 線路に佇む子供達。
 その一枚のイメージさえあれば、どこまでも伸びる物語の影のように。
 そんな景色を見る時間はとても大切です。 

 ちょうどここに、ほんの少し歪んだ景色があります。

 別々の扉の別々の部屋。
 その先で暮らす二人。
 世界はひとつなのに、扉や部屋はひとつではない。
 それなら、二人の世界はいくつなのでしょうか?

 この、なんてことない当たり前を映した。

 ほんの少し歪んだ、『あらすじ』。
 あなたは、その先にどんな景色を見ましたか? 
 そして、その先にどんな物語を描きますか?







それでは、また次の機会にお会いしましょう。



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無関心は希望

 好きの反対は無関心。  そんなたわ言、誰が言ったのか知らないが。   今の私からすれば無関心は希望。  今まで気づけなかった、その未知は。  愛しの故郷、待ちきれない今は夢の今。