拝啓
歌う不死蝶様、今年の最後の月、最後のお手紙です。
今、目の前にある12月。
それは、ほんの少し暗く寒い。長く乾いた冬の月です。
ですから、このお手紙もほんの少し長くなりそうです。
どうか、お付き合いください。
冬になってからの私は、何かを蹴り飛ばしたい衝動に駆られていました。
何でもいいから、蹴飛ばさないと気がすまない。
そんな気分でした。
そんな12月のある日。
この現実と眠っていた幻実の中間の狭間。
そこで、優しく温かい声が、私に。
もし、目の前にチャンスが流れてきたら。
それに、素直に乗ってみてはどうでしょうか?
そう問いかけました。
私は曖昧な意識の奥の方で、そうだね、と答えました。
きっと、あの声の主は私の相方で。
相方がそう言うので、荒くれた冬の私も少し穏やかになれたのでしょう。
もし本当に、何かのチャンスが訪ねて来たら。
それに素直に乗ろう、上昇気流に乗る凧のように。
そう思いながらも、そのまま荒くれた冬の私は、蹴りたい衝動と共にありました。
その2~3日後、あっけないメールが届きました。
それは、予想通りの内容を知らせるだけのものでした。
来年まで待たされると考えながら、準備をしてきた中。
今年中に、はっきりと片付いた一件。
正直な本音を明かすと、今年は散々な1年でした。
やること為すこと、全て上手くいかず。
なるほど、私は何かに挑戦したり、行動したりしてはいけない人だと。
そういう教訓を得る1年でした。
その1年を終業するように受け取った、最後の通知表。
その瞬間は、気づきませんでしたが、寝床に入った瞬間にあることに気づきました。
それは、数日前の相方の言葉です。
もし、チャンスが流れてきたら……。
その言葉を思い出し、私は納得しました。
そして、あの蹴りたい衝動も小さくなっていました。
このチャンス、この機会。
それは、蹴りたくありません。
ここまで隠していた秘密は、トタン屋根に放り投げ。
この新しい秘密を抱えて、来年を迎えられる。
それは、とても最高なことだと気づきました。
そう気づけたのも、この冬のお蔭です。
暗い冬だから見えた光。
寒い冬だから感じた温かい声。
乾いていたから、渇いた心が欲した何かだと思います。
例えば、愛とか。
その愛、それが本題です。
私は今年の後半に、今までとは違う。
新しい愛に出会いました。
これまでの私は、愛と聞けば照れ臭くなり、向き合わないふりをしてきました。
自分には無縁なもの。
薄情な私は薄情さを乗りこなす、風来坊的な何か。
そう思ってきました。
ところが、その考えを変えてしまう歌に出会いました。
それは、歌う不死蝶さんが歌う、『希望ノカケラ』です。
その中にあった、確かな重さの愛。
それは、照れ臭さすらも照らしてしまう。
温かく大きな心、そんな『月光陽光』でした。
恋愛の愛しか知らず、愛とは男女のラブソング。
そう囚われていた私に、とても広く大きな世界を見せてくれました。
ラブソング。
それは、男女の間にある愛だけとは限らない。
むしろ、何もないからこそ、力強く確かにある、そんな愛もある。
そして、それを誰もが持っている。
最初は見えなかった、『希望ノカケラ』の中の確かな重さの愛。
だけど、様々な歌詞と出逢い、見えてきたその愛。
浮気性で一途とは程遠い私ですが……。
そんな私も照らしてくださる。
歌う不死蝶さんの力強く温かく優しい、歌。
その歌が届ける風と光。
歌う不死蝶さんは私達を照らす、『月光陽光』です。
どうか、このまま。
私達を照らしてください。
冬の寒さと暗さが、月光をより輝かせる。
夏の暑さと明るさが、陽光を待っている。
月光だから見えるもの。
陽光だから見えてしまうもの。
今の季節にしか見えない何かもありますね。
これまで、見失っていた季節感。
それを思い出せる、風にも出会いました。
私もここから。
溜め込んで腐ってしまった何か。
それを、ここに置いて忘れていきます。
そして、私の隣にいる、私だけの光に照らされ、輝きだした安っぽい何か。
ただ、それだけを持って進んでいきます。
しがらみや足を取る何か、そういう余計なものは捨てて。
歌う不死蝶様、2019年もありがとうございました。
是非、2020年も私達を照らしてください。
力強く、温かく、優しい。
そんな光を司る、歌う不死蝶様。
それでは、また次のお手紙でお会いしましょう。
敬具
歌う不死蝶様と共に未来の夢を見る一人より
敬具
歌う不死蝶様と共に未来の夢を見る一人より
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