2020年4月29日水曜日

嘘つき?


 嘘つき。
 それは、嘘という幻を描くから嘘つきなのか。
 それとも、自分とは違う何かを語るから嘘つきなのか。
 気がつけば、嘘つきという幻は消えていました。






テツガクちゃん
 睡眠中の夢の中で見たこと。
 それを、自分の経験のように語る方は嘘つきでしょうか?

 睡眠中の夢の中での出来事。
 それは、起きている世界での出来事ではないように見えます。

 ですが、その夢の中に行くためには。

 起きている世界で、眠るという経験が必要です。

 ですから、夢の中の世界も、起きている世界も。
 どちらも同じ『ゲンジツ』と呼ばれる世界です。

 ただ、表か裏か。
 それが、ほんの少しだけ違い。
 その違いを嘘と呼ぶのでしょうか?


肯定
 表なら本当で、裏なら嘘って感じかな。


 でもさ、きっと、どちらも嘘ではない。
 そう、僕は思うよ。

 ただ、その違いが嘘に見えてしまう。
 その可能性の方が、ほんの少し高いのかもしれないね。

 夢の中の出来事は本当の経験じゃない、という理由もあるのだろうけど。
 その夢を見るための睡眠という経験。

 それは、ガクちゃんが言うように、しっかりとしているわけだし。

 だから、嘘とは言えないのかもしれない。
 ただ、それを認めたくない、というか。
 事実として信じたくないといいますか。

 不思議だよね。


テツガクちゃん
 不が憑いた思議ですね。
 あまり考えをめぐらせたくない。
 そんな不がとり憑いてしまった、思議です。

 その不には申し訳ないのですが。
 もう少しだけ、思議を進めましょう。

 睡眠中の夢の中での出来事。
 もし、それを自分の経験ように語ること。
 それが、嘘ではないのであれば。

 物語を描く作家が自分の物語の話。
 それを自分の経験のように、語るのはどうなんでしょうか?


 ドン・キホーテ物語のように。
 彼は嘘つきでしょうか?


肯定 

 それも嘘つきではないよ。
 彼の目に、中世の騎士道の景色が見えたのなら。
 それは嘘ではない。

 もちろん、他の誰かにそれが見えないのであれば。
 誰かには、嘘のように見えてしまうのだろうけど。
 
 自分には見えないものを見たり。
 自分とは違う何かを語る。
 だからといって、その人が嘘つきとは限らない。

 嘘。
 事実ではないこと。
 正しくないこと。
 適切ではないこと。
 
 それらは存在などしない幻。
 なぜなら、事実や正しさに適切さ。
 それらは、全て人によって形が変わる幻だから。
 
 『存在と同時に存在しない』、幻だよ。


テツガクちゃん
 たしかに幻ですね。

 事実は視点が変われば、違う事実があります。
 もし、正しさがあるのだとしたら。
 それは、正しさが存在しないことが正しさです。

 そして、適切や適当という当たり前。
 それらも、人によって形が違うものです。

 ある意味、嘘という言葉そのものが嘘の塊ですね。
 存在などしない幻で、何かをはかって、嘘という幻をつくろうとする。

 これはステキな矛盾ですね。


肯定
 不がとり憑いて、隠したくなる矛盾だね。
 嘘について、思議を進めれば、出会ってしまう矛盾だから。

 まさか、嘘つき。
 その言葉自体が、存在などしない幻。
 つまり嘘だったなんて、ちょっとかっこがつかないじゃない。

 これは隠しておきたい秘密だよ。
 いや、暴かれても、また隠れる秘密かな。
 だから、心配ないよ。
 
 嘘という言葉は消えないよ。
 みんな、嘘という幻を信じたいのさ。


テツガクちゃん
 そうですね。
 ステキな矛盾が隠れた、嘘という幻。
 それは、とても面白い幻ですから。

 嘘つき。
 それは、嘘という幻をつくから嘘つきなのでしょうか?
 それとも、自分とは違う何かを語るから、嘘つきなのでしょうか?

 もし、前者であれば、嘘をつくのは容易なことです。
 嘘という幻を描けばいいのですから。


 もし、後者であれば、嘘をつくのはほんの少し困難です。
 ですが、それ以上に本音を語ることも困難になりそうです。

 あなたにとって、嘘つきとはどんな形ですか?






それでは、また次の機会にお会いしましょう。










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無関心は希望

 好きの反対は無関心。  そんなたわ言、誰が言ったのか知らないが。   今の私からすれば無関心は希望。  今まで気づけなかった、その未知は。  愛しの故郷、待ちきれない今は夢の今。