2020年7月6日月曜日

恐ろしく怖くもない無関心


 無関心が恐ろしく怖い。
 そう誰かは言うが、それは嘘が香る台詞だ。
 なぜなら、今、この瞬間、あなたは私のことを知らないけど。
 特別、その事実をあなたは恐ろしく怖がらない。
 そして、それは私も同じことです。


 




テツガクちゃん
 これまでも、何度か同じ事を言っている。
 そう気づいていますが……。

 それでも、消えない不可思議なこと。
 それは、無関心を恐れ怖がってしまう。
 そんな人の心の情です。

 恐ろしく怖がっているようですが。
 その心情は、ちょっぴり不思議で不可思議です。

 そうは思いませんか? 肯定さん。


肯定
 そりゃ、僕はガクちゃんの相方だからさ。
 ガクちゃんの心情は、だいたい察しているつもり。

 だけど、たまにはその心情。
 それを、改めて明かしてもらうのも面白そう。

 ということで。
 無関心、それを恐ろしく怖がる、心の情。
 それが不可思議に思える、ガクちゃんの心情を。
 今、この瞬間に、明かしてよ。


テツガクちゃん
 そうですね、照らし明かしてみましょう。

 無関心を恐ろしく怖がる、その心の情を表せば。
 きっと、こんな感じです。

 明日、生まれてくる誰か。
 その誰かのことを知らないこと。
 それが、恐ろしく怖くてたまらない。

 そんな事、本当にあるのでしょうか?
 
 今も私は、生まれてくる誰かのこと。
 それを知りませんが。
 特別、それを恐ろしく怖いとは思いません。

 なぜなら。
 それは、明日、生まれてくる誰かも同じことですから。


肯定
 きっと、同じだね。
 僕だってガクちゃんと同じだよ。

 例えば。
 今、この瞬間を覗いている、あなたのことを僕は何も知らないけど。
 特別、それを恐れ怖がったりはしない。
 そして、それはあなたも同じこと。

 お互い、知らないもの同士。
 無関心な間柄。

 最初は誰もがそうだった。
 何も知らなかったし、何にも関心がない、無関心。
 それは、当たり前に然り、当然な距離感で。

 今だって、本当はそうなのかもしれない。
 相変わらず、知らないし、わからないことが多いし。


テツガクちゃん
 肯定さんもですか!
 私だけではない、と知って安心しました。

 当たり前に然り、当然な距離感。
 それは、特別なものではなく、恐ろしく怖くもない。

 ただ、それでは困る誰かがいるから。
 そこの底に、恐怖があると、法螺を吹くのでしょう。


肯定
 そうだろうね。
 人が怖がらないと、何も売れず。
 『Mr.世間様』が愛している、詐欺も上手く回らないから。

 本当は、どうなってもどうでもいい。
 例え、『Mr.世間様』が死んで、秘密結社『SYAKAI』が潰れても。
 誰も何も困らない。

 今までどおり、これまでどおり、それまでどおり。
 無関心のままで在り続けられる。
 怠惰太子という大罪が生まれる、その前までのように。

 そう気づけたら……。
 少しは軽くなるね。


テツガクちゃん
 だいぶ、軽くなりますね。
 積み重ねて、その重さで歪んだ荷物。 
 それを忘れてしまえば。

 無関心に無意識に。
 どうでもいい、『Mr.世間様』を喜ばせるために。
 知らない誰かの幸せのために。
 酷く恐ろしく怖がり、飢えて求めて奪い取りましょう。

 その欲望を望んでいる。
 どこかの誰かのために。


肯定
 そうだね。

 今、この瞬間に自分の旗を揚げよ。
 霧夢無決行、本音が見張っている。

 今日も変わらず。
 混沌が秩序の中に、一糸乱れずに並んでいる。
 棄てられた秩序は、混沌の上で雑然と乱雑をかき混ぜている。

 そんなことを知らなくても。
 特別、あなたは恐ろしく怖くもない。
 それと同じように、混沌も秩序も無関心を特別恐れない。

 もし、本当に恐ろしく怖いもの。
 それが、あるとしたら――。


テツガクちゃん

 恐怖、それが『存在と同時に存在しない』。
 そんな幻という事実かもしれません。
 
 誰も何も恐れ怖がらなくなったら。
 あの誰かは、その恐怖で死んでしまいますから。

 ですから、気にせず、そのまま、我がままに。
 恐れ怖がっている、そのふりを続けましょう。
 知らない、あの誰かのためにも。

 あなたの慈悲深い、心の情。
 その光が、誰かに幸せを見せるのなら。
 それは、とてもステーキなことですから。







それでは、また次の機会にお会いしましょう。








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穏やかな青さに身を任せるな

  穏やかな青さに身を任せるな。  諦めた夢を燃やせ。  のさばる星屑に怒りをたぎらせろ。  いかれ、いかれ、奪い取る星に。  飛べ、飛べ、白い影に。