2020年9月9日水曜日

幽霊船に出会った


 まるでデジャヴのように。
 なつかしい映画のように。
 出会ってしまった、伝説の幽霊船、『欲望号』。

 あなたには、あの船の幽かな光が見えましたか? 船長。
 



 
 
テツガクちゃん
 気づいて……いえ、出会ってしまいました! 私!
 伝説の幽霊船にです!

 たしか、名前は『欲望号』でしょうか。
 欲望のまま、時空の海を突き進む、幽霊船。

 突き進んだら、振り返ることもなく。
 もう戻らない、もう二度と戻らない。
 そんな情け容赦ない、幽霊船です。

 
肯定
 まさに、伝説という感じの凄い幽霊船だね。
 その船とは、いつ、どこで出会ったの?


テツガクちゃん
 昨日だったと思います。
 場所は、意外と身近なところです。
 例えば、この部屋だったり。

 たまたま、本を読んでいたんです。
 幽霊船が出る、物語の本を。
 
 もちろん、この物語の中の幽霊船ではありません。
 この物語の船名は、『彷徨えるオランダ紳士』でした。
 ちょうど、その物語に書かれていた。
 『幽霊船』という単語に惹かれたんです。


 肯定さん、この単語の先。
 そこに、暗く静かで深い。
 目には見えない景色が見えませんか?


肯定

 『幽霊船』という単語の先か……。

 幽霊、船ね。
 幽、霊ね。

 ……あっ、そういうことか!

 幽。
 暗く静かで深い。
 そんな目には見えない幽境を越えた、深淵の幽谷。
 それと、死者の世界だったり、あの世のような幽界。
 それらが混ざり合った、深い深い深淵の景色が幽。

 霊。
 人が持つ『たましい』。
 その形を魂と書いたり、霊(たましい)と書いたり、表し方は様々。
 だから、霊魂とも言うし。

 それらの意味が合わさった幽霊。
 その形は、意外にも身近なものかもしれないね。

 そう、目には見えない。
 深い深い幽谷の深淵。
 その幽界で眠る、心という霊(たましい)。
 
 それは、誰もが持っている、当たり前。
 視点を変えてみれば。
 誰もが伝説の幽霊船の船長というわけね。


テツガクちゃん
 さすが、肯定さん!
 霧の都の名探偵もビックリですよ。

 そうです。
 私が見た欲望という幽霊船も同じ形です。

 まるで、永遠に繰り返すロックンロールのように。
 古い映画のような、中間色の枯葉を揺らしながら突き進む。

 その軌道は、情け容赦の欠片もなく。
 振り返ることなく、フルセイルで突き進む。

 ただ、時空の海を突き進むのではなく。
 様々な『たからもの』と『ほこり』を乗せています。

 伝説やロマン、思い出や夢、『唯一無二』の気持ちなど。
 ありとあらゆる財宝です。

 そして、埃のように積み重ねていく。
 誇りという大切な『プライド』。

 誰にも囚われず、時空の海を突き進む。
 時には、消えたように見えなくなったりもする。

 そんな幽霊船です。
 今、あなたには、この船が放つ幽かな光が見えていますか? 船長。

 船と船長は運命共同体です。
 例え、船が見えなくなっても。
 今が見えるのなら、必ず船長の船はどこかにあります。

 きっと、心の奥深く。
 幽界の幽谷の辺りに。
 あなたの霊は眠っているはずです。

 だから、霊が目覚めるまで待ちましょう。
 雀のジャック船長のように。

 そして、霊が目覚めたら。
 もう二度と振り返らず、もう二度と戻らず。
 フルセイルで突き進みましょう。

 欲望のままに、情け容赦は無用です。

 それが、時空の海で。
 様々な気持ちと時間を騙し欺き盗む賊、海賊の流儀ですよね?

 さあ、今こそ。
 自分だけの『唯一無二』の旗を揚げましょう! 船長。











それでは、また次の機会にお会いしましょう。










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グリフィン理論

  いつだって10月だし11月だし3月なんだ。  このグリフィンさんの教えは贈り物。  誰だってジェイソン・ボーンだしジェームズ・エドワーズ。  ロバート・アンジャーでローン・レンジャー。  そして、ネオでもある……忘れているだけで。