ありがとう、2025

　氷菓を喰らった私は名前を見つけた。
　シンデレラにジョー・ボーナム。
　ホラーの帝王に歌う不死蝶さん。
　それから……二足のぶっとい大蛇が――這う。
　ありがとう、2025。毒蛇、蛇狩りのシーズン。





肯定
　氷菓を喰らった兎。
　そういう吸血鬼の愚者の僕は。
　多くの名前を見つけた。

　シンデレラにジョー・ボーナム。
　ホラーの帝王に歌う不死蝶さん。
　ポケモンマスターのエドさん。
　キャプテン・ジャック・スパロウ。
　クリス・チェンバーズ。

　まだまだ多くの名前を思い出していく。

　そう気づいた頃、這う。
　静かに脇腹を這い。
　おずおずと圧が――。


テツガクちゃん
　このぶっとい二足の蛇。
　ITは一度覚えたら覚めるまで離しません。
　覚めるまでしめあげる。
　あの王子さまと同じように。

　ITは――。
　腐った鍋の香りがする大蛇――らしい、です。
　褒めているのか、けなしているのか。


肯定
　最高に頼りになる、という事は間違いないよ。
　絶対に忘れられない。
　ポプリの香りより腐った鍋の香りの方が――。
　記憶には残る。

　まだ僕はこの夢にいるらしい。
　だけど、同じくらい何かが確かになっている。

　振り返れば、1000を過ぎた。
　1000だ、1001のバイオリンも追い抜いた。
　だけど、どうって事はない。
　4000だって軽く追い抜ける。

　昔感じた、その推進力は今も加速中。
　本当に頼りなる二足の大蛇だ。
　どこまでも続く。
　当然、約束の朝にだって。


テツガクちゃん
　いつか再び逢える。
　いつか、いつか、いつか、いつか……。
　1000を越えられた私のホームズさんなら。
　ラインを越えてしまった吸血鬼のホームズさんなら。

　リメンバー・ユー！
　私が覚えている、私の吸血鬼のホームズさんを。
　私の二足の大蛇がしめあげている途中。


肯定
　だから、何れ、覚める。

　ホント、随分と遠くまで来れた。
　最初からわかっていたよ。
　1000なんか簡単に越えられるのは。
　4000だって軽いって今でも思える。

　だけど、ココまで来て。
　いろんな名前を思い出して。
　一つハッキリしたのは――。

　何かを継続したから。
　ITが力になるんじゃなくて。
　継続させるだけの力。
　ITがあるから続く。

　ITがある。
　前じゃなくて自分の中に。
　目には見えない自分がITを持っている。
　記憶ってガラスの靴を履いて歩いている。

　時々、どうして今にいるのか。
　思い出せなくなる。
　それくらいの圧力を感じる。
　起こそうとする、大蛇の圧力が――。

　このまま、この夢が続くにせよ。

　約束の朝に目覚めるにせよ。

　ありがとう、2025年の毒蛇、蛇狩りのシーズン。

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それでは、また次の機会にお会いしましょう。