2021年5月10日月曜日

進めテツガク肯定


 二人で帰る帰り道。
 いきなり、二人の正太郎を紹介するなんて。
 状況判断力の欠片もない。
 だけど、それが善か悪なのか。
 今ではよくわからない、鉄人や魔神もいないから。




 
 初めて、テツガクさんと帰った昨日。
 帰り道線にある分岐橋までの記憶は、まるで何かを間違えた夢のように感じた。
 しかし、翌日の今日、クラスで彼女の姿を見た時。それが、何かの間の違いではなかったことを幽かに確信した。そう、少なくとも僕と彼女は同じクラスメイト。それだけは間違えようのない事実だと。その事実に気づいた後、不可思議さが頭の上で、トンビのように八の字を描きながら飛んでいた。
 美しい黒髪の女子生徒。いや、男子生徒を含む、その集団の中で。ただ一人、ロマンスグレーとも言える中間色の髪を持つ彼女。
 同じロマンスグレーの髪を持つ数学の先生よりは黒髪が多いため、ほんの少し暗めだが。それでも、10代にしては珍しい。そんな彼女の存在に、これまで気づけなかったなんて……なんとも不可思議だと思っていた僕も。実は白髪が多いことを思い出した。
 もし、このまま10年ほど過ぎたら。お互い、ピアノでメリークリスマスを弾いていても不思議ではない。そんな気がした。ピアノは全く弾けないけど。それでも、この白髪ならなんとかなる、根拠なき自信が湧いた。
 休み時間に想像が湧かせた自信、それに浸る僕は、乾電池式携帯CDプレイヤーで音楽を聴く。いつもなら机に伏しながら聴いていたが今日は違った。机には伏さず、ぼんやりと彼女を観察していた。半分以上の意識を彼女に向けながら。
 僕の意識が捉えた彼女には、特定の親しい誰かがいるわけではなく。相手を選ばず何かの直感で決めて、話の輪に飛び込んでいくように見えた、基本的には。
 ただ、時々、話の輪のど真ん中にいながら、どこか遠くを眺めているような。そんな情を表すこともあった。その瞬間が僕には魅力的に映っていた。
 しかし、それは僕の意識が捉えた彼女の姿。今の僕には、いわゆる『本当の彼女の姿』というのはわからない。きっと、永遠にわからないのかもしれない。
 だけど、だからこそ、いったい、彼女が何を見ているのか。
 もし、その秘密を知ることが出来たら……なんて欲望が湧きあがり。そのまま、もしかしたら、翌日の今日も……なんて期待も湧いたが。欲望と期待の炎が液体の可能性を熱し、沸点の先で可能性は空に帰った。見えない水蒸気のように。
 可能性が空に帰った、翌日という今日の帰り道。僕は一人、帰り道線を回送で進んでいた。変に寄り道をしたら、余計に虚しくなるし、いろいろ湧き過ぎて、穏やかじゃない心情をさましたかったから。
 それに、まだ紹介したい、アレを見つけていなかったから。
 
 
 一人で帰った、あの翌日が流れ過ぎ去った翌日の今日。
 僕らの目の前に在り続ける、新しい翌日は。曜日やいろんなことが違うが、それでも同じどこかの翌日。永遠に辿り着けない、明日へ向かうように僕らは進むべき今を進んでいた。
 そう、今、この瞬間も、僕はギンバシコースを走っている。次の時限に間に合うように。
 ギリギリで正門をくぐり、ヘロヘロになりながら教室へ帰って、その後のことは覚えていない。
 ただ、気がつけば放課後で。疲れに憑かれた僕は、下駄箱で靴を乗り換えようとしていた、帰り道線に。
 そんな予定を再び春が呼び止めた。ホント、明日の予定なんかわからない。今日、今、この瞬間の予定すらわからないのだから。
「Hey! R'N'Rボーイ!」
 明るく爽やかな声の方を振り向くと、その主は笑いと驚きと心配をかき混ぜながら答えた。
「ちょっと、大丈夫ですか? 顔色が悪いですよ? 肯定さん」 
「今日もギンバシだったから、きつくてね」
 そう言いながら、わき腹の上の方を押さえる。
「保健室へ行きますか?」
 純粋な心配に染まった彼女はそう提案する。
「いや、このまま帰って寝たいから。帰るよ」
「それでは、あの橋まで一緒に帰ってもいいですか?」
 そう提案されると、わき腹の上の方の痛み。それが、ほんの少し和らいだ気がして。その瞬間、改めて自分が生物学、その上で男だったことを思い知った。
 使い切ったと思っていた、力。だけど、どこかに隠していた、意地のような、プライドのような、見栄に支えられて。
 彼女が投げた変えられない運命に、自分の自由な意思で答えた。
「帰ろうか、一緒に」
 そのまま、僕らは靴を帰り道線へ乗り換え、昇降口から正門を抜けていった。


 始まりと同じ、土手の道を二人で進む。外灯が過去へ流れていく、静かな沈黙の中。
 きっと、ヘロヘロな僕を気遣って、この沈黙を守っている、そう解釈していた僕。
 正直、このまま、自由奔放に制服を着崩した彼女。その姿を眺めているのもいいと思った。セーラー服とは違った眩しさがある、ブレザー姿を。ネクタイが妙に似合う彼女を。
 だけど、花見を楽しむ柄でもなく。出来ることなら、何か話をしたかったから。
 ぎこちないまま僕は精一杯、何かを振り絞って声をかけた。アレを紹介したかったから。そう、それは、二人の……。
「あ、あのさ、『進め正太郎』って歌、知ってる?」
「『進め正太郎』ですか?」
「そう、最近やってた、『鉄人28号』ってアニメのED曲なんだ」
「知りませんでした! どんな歌なんですか!?」
「どんな歌と言われても……」
 ちょっと、ほんの少しだけ……。いや、かなり失敗した、と思った。
 僕が伝えたかった気持ち。それは、このアニメを見ていない人には伝わり難いものだったから。とり憑かれた疲れで、状況判断を誤った。いや、もとからそれは得意ではなく、かなり鈍い方だ。いわゆる、空気が読めない、ちょっと先の未来用語で言えばKY的な存在だ。
 しかし、妙義のさめた僕がこう言う。
 でもさ、仮に誰もが知っている当たり前だとしても。伝わらない人には伝わらないのだから。出来る限り、届けたいという気持ちを声に込めてみたら? それが、隣にいるステキなR'N'Rガールへの礼儀じゃない? 元柔道部、正々堂々、向き合いな、3分だけでも。
 その後、頭の中で3分という数字が点滅して、試合開始の合図が響いた気がした。
「ちょっと長くなるけどいい?」
「もちろんです、ドンと話してください!」
「鉄人28号っていうロボットと少年探偵の正太郎君がいてね。それで、最近まで放送していたこのアニメでは、鉄人のことも正太郎って呼ぶんだよ」
「鉄人と正太郎君には、何か関係があるのですか?」
「このアニメでは、どちらも同じ人が父親なんだよ。ロボットの父親ってなんか変だけど。自分が作ったロボットに、子供が生まれたらつける予定の名前を託したらしい」
「そういうことですか! ほんの少し、そんな気持ち、わかる気がします。楽器に名前をつけるのと近い心境ですね。どちらも大切なものですから」
「きっと、そうだろうね。でもね、正太郎君はちょっと複雑なんだよ。ロボット、いや、兵器に自分の名前が託されてさ」
「それはそうですね、テツガクというロボットが暴れていたら。ほんの少しだけ複雑です」
 ほんの少しだけ複雑。そうあらわす、彼女の心情がとても魅力的に思えた。
「だから、しばらく鉄人を受け入れることが出来なくて。でも、ある話で、鉄人を受け入れるシーンがあってね。その時にかかるのが、この『進め正太郎』って歌なんだ」
「自分と同じ名前のロボット、それを受け入れるシーンで流れる、『進め正太郎』ですか。とてもかっこいいですね!」
「そう、かっこいいんだ! こんな感じで」
 僕は少し息を整えた。本当は、自信がなくて、あまり歌いたくなかったけど。
 どうしても聴いて欲しい詩を歌う。今、この瞬間、話を聴いてくれる彼女のために。彼女と向き合うと決めた自分のために。
「ぼくは正太郎、まけるものか」
 それを聴いた彼女は、何かに気づいてしまったかのように、瞳が輝き表情も幽かに変わる。向かうところ霧なし。だけど、拠点は霧の都。そんな感じの人物のように。
「なるほど……。この正太郎は、少年探偵と鉄人28号、その二人のことを歌っているんですね」
 この拙い僕の説明で、そこまで察してしまうなんて。名探偵も驚きだとハッキリと確信した。
 そう、彼女の言うとおり、それが僕が伝えたかった気持ちだ。
「さすがだね、そのとおり。なぜ、正太郎君が負けないのか、最初はわからなかったんだ。でも、あのアニメを見てさ。二人とも正太郎だから。正太郎君が認めた、正太郎が負けるはずがない、って思ってさ」
「かっこいいですね、鉄人28号。いえ、二人の正太郎ですね」
 その瞬間、光が示した3分が0になり、終了の合図が響いた。
 だけど、まだあの橋までは半分以上あった。
 すると、もう一度、光が3分を示し開始の合図が響く。
 先に技をかけたのは彼女だった。
「そうです、鉄人28号で思い出しました! たしか、いいもわるいもリモコン次第。そういう歌もありましたよね?」
「あるね、それはOPだね」
「最近、気づいてしまったんです! 私! リモコンや気分で、重い責任を背負ってくれる、鉄人や魔神はもういないことに」
 それを聞いた僕は、彼女とは違い。疑問符にとり憑かれ、霧の中。
 リモコンが鉄人なのはわかるけど、気分と魔神ってなんだろうか? それをそのまま声にした。
「気分と魔神?」
「そうです、あの魔神が神なのか悪魔なのか。それは、気分次第と聞きました」
 ああ、たぶんマジンガーZのことか。そう僕は遅れて解釈した。
「そして、遠い昔にはあったのでしょう。わかりやすく、明らかに、善と悪が」
「あったのだろうね。黒い霧の中に隠れた、強く黒い雄牛が悪で。それに立ち向かう正太郎が善で」
「それが、今では、よくわからなくなってしまいました。何が善で、何が悪なのか」
 そういわれると、たしかに、と思えた。
 何をしてでも、成功したもの勝ち。成功するには目立ったもの勝ち。目立つには言ったもの、やったもの勝ち。勝つためになら死神にだって魂を売る。9人まとめて頭にボールをぶつけてやれ。スポーツが戦争だというのなら、一人でも多く棺桶に送ったもの勝ち。
 それが、勝利ということだ。山のように負けた誰かの骸の上にしか成立しない儚いもの。とりあえず、優勝してくれたら、誰もが喜んでくれる、安い安いバーゲンセールな感情。
 興奮もさめていく、しらけた流行のトップ10に並ぶ勝利者は、人の目が捉える兎、どれも同じ兎顔。その違いはわかりやしない。均一に作られた大量生産の既製品だから。
 メイドインワンダーランド、勝利正義人気至上主義のロゴが入った何かに依存すること。それが、新時代の誇るべき誉れのように映っていた、今、この瞬間の僕の窓には。
 だけど、それが、彼女にも同じよう映っているとは限らない。
 また違った形で、善と悪、その覚えが錯じって、わからなくなったのかもしれない。
 善と悪がわからなくなった彼女は静かに答え始めた。
「もしかしたら、私が変わってしまったから。善と悪が前途多難の中に迷い込んでしまったのかもしれませんね」
「変わってしまったの?」
「私は、変わった覚えはありません。ですが、外側だけは確かに変わって、大人と呼ばれることが増えました。内側は相変わらずなんですけどね」
 少し困ったように微笑みながら彼女は言う。
 そのまま、ゆっくりと背負わされた得体の知れない重さを明かす。
「今も大人ってよくわかりません。もちろん、子供もよくわかりません。ずっと、私は私で。昔よりも私は私という自己主張が強くなってしまいました」
「よくわからないね、大人も子供も。気づいたら、背負わされていたよ。そんな立場を」
 少し静まり返る。
 何か変なことを言ってしまったのかと、焦りと不安と後悔が追いかけてきた。
 ホント、向き合った人との会話ってわからない。どう返したら善で、どう返したら悪なのか。どの印象が本当の姿で、どの印象が違う姿なのか。何もわからない。
 そんな僕の場合、いつも期待外れな結果になるから少し覚悟した。どれほど、きつい反撃が返ってくるのかと。
「肯定さんも背負っていたのですか?」
 意外を覗き込みながら返した彼女。
 その返しは、予想外れの穏やかな返しだった。
「いや、ごめん……カッコつけたけど、背負ったことなんかなかったかも。ただ……」
「ただ? ただよりも高い何かを知っているのですか?」
「えっと、まあ、そんな感じかな? 確かに変わったよ。見える世界が昔よりも少し広くなった。それで、いろんな立場があるって気づき始めたら。善と悪の色が霞んでいったよ、僕の場合。そして、こう思い始めた。きっと、そんなもの、最初からなかったんだなって」
「ただよりも高いですね、その視点は」
 そう笑う彼女は、ほんの少しのためらいと向き合っていた。
 そして、何かを決めて、それを明かし始めた。
「きっと、肯定さんの言うとおりです。本当は、最初からなかったんです。ですが、それでも、遠い昔には見えていた気がした、善と悪。それが見えなくなってしまった、その理由は……」
 彼女の解釈を聴いていたら。僕の想像の中で、霞んだモノクロの正太郎と黒い雄牛が向かい合っていた。
「きっと、リモコンや気分で、重たいそれらを背負ってくれる、新しい鉄人や魔神がいないからだと、私は思います!」
 自信満々、100万馬力の彼女の言い分は、僕の想像の中の正太郎と黒い雄牛を鮮やかに染めた。それは、僕が忘れてしまった色だった。
 ほんの少し独特な彼女の言い回しがとても愛おしく、なんとなく彼女の気持ちがわかる気がした。もちろん、全てがわかるなんて、言いたくても言えないが。確かに心が満たされた気分の中で僕は思い出した、あの終焉を。
 そういえば、リモコンで善悪を決めた正太郎も。背負った、その責任に裁かれるような終焉だったな。
 誰かがわかりやすく善悪を決めて。その重い責任を背負ってくれたら、僕らは楽だけど。ここまで、様々な覚えが錯じってしまった錯覚の中では。もうリモコンや気分では決められない。
 全てを決められるのは、今、それを覗いた人だけ。
 いなくなった、鉄人や魔神じゃない。
 流れる水のように、そう納得できた。
 それが、彼女の本心かどうかは重要ではなかった。今、この瞬間を共に味わえる、津々と溢れる共味だけがあれば、僕は満足だった。
 短めの沈黙、その余韻の中から静かに僕は訊ねた。
「どう思う? 新しい鉄人や魔神はもう現れないのかな?」
 少し驚いた様子の彼女は僕の瞳を覗きこみ、何かを探りながら満足げに納得した情で投げ返した。
「鉄人や魔神がいないこと、それに気づいてしまった私たちなら、出逢えるのかもしれません!」
 その運命に笑ってしまった。
 なぜなら、全く以て、そのとおり。当たり前に然り、当然で。
 返す言葉は一つしかないから。
「そうだね、探し物は探したい、その心情に在る。そんな感じだね」
「そんな感じです! 進め、テツガク肯定です!」
「テツガク肯定?」
「そうです、私のテツガクと肯定さんの肯定。力を合わせたら、テツガク肯定ですよね?」
「少し偉そうじゃない?」
「そうですか? 本物の哲学皇帝みたいで、かっこいいじゃないですか?」
「とんでもない、カタカナのテツガクと肯定する肯定がいいよ。ちょっぴり胡散臭い感じがちょうどいい」
「肯定さんもですか? 私もそう思っていました! 詐欺師のような感じの胡散臭さ、それがステキです」
 不思議と僕もそう思っていた。
 きっと、僕と彼女が持つ、詐欺師の印象は溢れている形とは違うのだろう。
 僕がそれに気づいた頃、彼女は続ける。
「それに、逆にすれば、肯定テツガク。それもステキですよね。もちろん、皇帝哲学でもいいのですが、私は肯定テツガクの方が好きです」
「僕も肯定テツガクの方が好きだよ」
「同じですね」
「同じ似た者同士だね」
「それなら、やっぱり、進めテツガク肯定ですね」
「正太郎君のように?」
「そうです、正太郎君のようにです!」
 彼女は息を整え、歌いだす。
「わたしたちはテツガク肯定、とまるものか」
 そう歌う彼女の姿は、夕陽よりも眩しく輝いて見えた。
 その光の先、この路線の分岐点の橋が見えた時。精一杯、何かを振り絞って、正々堂々向き合った事。それが、善いか悪いかで言えば、最善だったと。やっと僕は気づいて、そう決めることできた。
 そんな僕の心情を知らない彼女は、最初の日と変わらず僕の前へ出て、くるっと振り返り僕の情を覗き込みながら言う。
「実は、昨日まで、私と帰るのは最初の一度きりで。私が約束を忘れている、と思っていませんでしたか?」 
 半分が本当で、半分が違った。
「僕は、約束は守られないから約束だと思うからさ」
 そう、これまでの人生で、いろんな人からそう教わった。
 何ならどこかの誰かが作った、出鱈目が踊る教科書にも書いてある。
 彼の有名な北のターリンもそれを実践している、約束は破ってこそ約束だと。
 だけど、彼女の約束は……いや、彼女は今まで出会ってきた人とは違う。
 なぜなら、彼女こそホンモノの――。
「こう見えて、私、約束は守るんです。詐欺師は約束を守るから詐欺師なんです。肯定さんもそう思いますよね?」
 刺し指を揺らしながら訊ねた後、僕の情を覗きながら奥の方にある、幽かな霊を探っている。
 そんな僕の本心は、彼女が似た者同士、同じ同業者だと識り認め、認識した。
 そして、そこに付け加える。彼女の方が限りなくホンモノだと。
 まるで、紫のコートに緑髪、パンダメイクと裂けた口で笑う、あの切り札のように。
「そうだね、詐欺師は約束を守ってこそ詐欺師だね」
 探しものが見つかった彼女は笑いながら。
「それじゃ、また明日。一緒に帰りましょう。今日もお先に失礼しますね。お体、お大事に」
 そう言って足早に駆けて行く、彼女は一人、こちらに消えていく。
 僕はそんな彼女の残像を回想しながら、一人、他の駅に止まらず回送であちらへ進んでいく。
 不思議とその道中、わき腹の上の痛みは消えていた。
 彼女と別れたら、戻ってくると思っていたけど。それは、戻ることなく、とり憑いた疲れも祓われていた。
 それに気づいた僕は、遠い昔に忘れてしまった秘密を思い出す。
 その秘密は、男性にとって女性は魔法使いということ。多少の痛みや疲れは忘れて、嬉しさと期待は想像の外まで膨らむ。そんな魔法を使う最高の魔法使いだ。
 きっと、その秘密は、僕の隣に彼女がいる限り忘れないだろうと、ハッキリと確かに確信した。
 

 次の帰り道線。きっと、それは明日だと無意識に信じていた。
 それに期待するのではなく、それが当たり前に然る、当然のことだと。
 だけど、大きく偉そうではなく。
 いつかそれが、変わってしまう運命だとしても、詮無きことだと理解しながら。
 今日のように精一杯、正々堂々、向き合おうと決めた。
 リモコンや気分に頼らず、自分でそう決めた。
 
 僕と彼女はテツガク肯定だから。
 力をあわせ、今を進め!
 二人はテツガク肯定、とまるものか。
 

  





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砂漠でアマゾンを探している

 多くの人は砂漠でオアシスを探している。  平和ってオアシスを信じて、求めて彷徨う。   隣にアマゾンがあっても、砂漠の中で探す。  今、本当に欲しいもの、ITを忘れかけながら。  砂漠のオアシスなのか、豊かな水源があるアマゾンなのか。