2017年8月4日金曜日
お勧め映画 第17回目『スターリングラード(2001年の映画)』
個人的お勧め映画。
今回は『スターリングラード (2001年の映画)』です。
第二次大戦時にソビエト連邦の狙撃兵として活躍し、英雄となった人物ヴァシリ・ザイツェフを主人公した映画です。
ヴァシリが普通の兵隊から、狙撃兵の才能に目覚め活躍し、どんどん名を上げていく。その活躍を聞き、ドイツは最高の狙撃兵エルヴィン・ケーニッヒ少佐を戦場に送る、というのが簡単なこの映画の内容です。
個人的お勧めポイント
1、ヴァシリの魅力
2、ダニロフの立場
3、戦争描写と狙撃戦
1、ヴァシリの魅力
ヴァシリを演じるのはジュード・ロウさんです。(シャーロックホームズのワトソンですね)
最初は普通の兵隊として、敵に銃をも持たずに突っ込むヴァシリです。この酷い戦いの後、彼にチャンスが訪れます。戦いに勝利し、油断しているドイツ将校が現れ。隠れていたヴァシリはダニロフから銃を借り、そのドイツ将校の狙撃に成功。
この映画では、ここからヴァシリの伝説が始まります。
そんなヴァシリの素顔は至って普通の男性。ウラルの羊飼いで、幼い頃から祖父に狩りを教わり、それで狙撃が上手いのです。
狙撃兵として活躍し、同士の希望になることに喜ぶ彼ですが、重過ぎる期待に葛藤します。更に、恩人の政治将校ダニロフの存在です。ダニロフが彼の活躍を国中に記事として取り上げてくれるが、彼が描く『ヴァシリ』は本当の自分とはかけ離れている、と感じます。
ダニロフのお蔭で狙撃兵になれたが、その彼が書く記事が徐々に自分を苦しめる。この二人の行き違いが見所ですね。
そして、一人孤独なヴァシリを支えるのが、ターニャという女性です。彼女は兵士として前線に立ちますが、大学でドイツ語を学んでいて、教養がある女性です。
彼女がヴァシリの支えになりますが、ダニロフはドイツ語ができるターニャは前線より、文書解読などをするために本部にいたほうがいい、と移動させます。
もちろん、ヴァシリもダニロフの考えには賛成です。彼女が安全な場所にいたほうが、ヴァシリにとってもいいことなのですが……。一人孤独なヴァシリを支える相手。本音は傍にいて欲しいでしょう。
普通のヴァシリが英雄になるために失っていったもの。恩人ダニロフ、愛すべきターニャ、本当の自分など……。それらを失いながらも、戦場で銃を構えるヴァシリ。狙撃兵というのはいつも一人なんだな、と思えます。
2、ダニロフの立場
ダニロフにとってもヴァシリは恩人です。
本当は、ダニロフがドイツ将校を狙撃する予定でしたが、彼は銃が扱えずそこにヴァシリが現れ、代わりに将校を狙撃。この件でダニロフ自身も昇進。ヴァシリが活躍し名が上がり彼は英雄になる。それを取り上げるダニロフも昇進していく。
ダニロフは、今後もヴァシリには活躍して欲しい。それがソビエトの希望になり、自分にも帰ってくる。そして、ヴァシリだってそれで喜ぶはず……しかし、ヴァシリはそうではない、という部分で行き違いが生まれます。
ヴァシリとは対照的なダニロフ。始まりは同じ方向を向いていた二人が、徐々に違う道を歩んでいく。ヴァシリの魅力には、ダニロフという対照的な立場の人物が絶対に必要です。
3、戦争描写と狙撃戦
戦争経験者ではない私が、戦争描写を語るのはおかしな話ですが、とてもよくてできいると思います。
迫力があるのはもちろん、細かい部分もしっかりしていると思います。(ショッキングな映像が苦手な方にはお勧めできないです)
ドイツのケーニッヒ少佐が決戦に挑む時、「勲章は外してくれ」と仲間に頼まれます。
もし、彼が負け、その偉大な勲章が新聞に載ると、ドイツに影響がある、ということです。既に、ヴァシリの活躍で影響があるのに、ドイツの伝説の狙撃兵の勲章が新聞に載るのはよくない、という描写は細かいですね。
なぜなら、史実だとこのケーニッヒ少佐は、ソビエトのプロパガンダで実際は存在しない、というのが少佐の立場です。
ケーニッヒ少佐はベルリンの狙撃兵学校で指導官をしていたとあるのですが、実際はベルリンに狙撃兵学校はないらしいです。
他にもケーニッヒ少佐が実在したという証拠が、現在も確認されていないことから、ケーニッヒ少佐はいない、というのが一般的らしいのですが、この映画では勲章を外して戦いに出たため、ヴァシリとの戦いの後のケーニッヒ少佐の行方はわからない、とすることができます。
他にも、ソビエトの上官が兵士に向かって「二人で一つ銃を持ち、敵に突っ込め。仲間が倒れたら、その銃を拾い進め」と命令する姿や、後退した味方を機関銃で撃つ、という感じの無茶苦茶を観ると、ソビエトも日本と変わらないな……と思ったり、戦場で敵のドイツ兵に情報を売る少年などの描写があり、本当によくできています。
そして、メインになる狙撃戦です。派手な演出とかはありませんが、静かな戦場で繰り広げられる質の高い戦いがよく描かれています。
ベテランのケーニッヒ少佐とソビエトの期待の新星ヴァシリの戦い方は対照的ですので、必見ですね。
最後に
普通の兵士だったヴァシリが英雄になっていく話にはロマンを感じます。しかし、英雄になる代わりに失っていくものを観て、そうかこれが英雄になる、ということか、と考えさせてくれる映画です。
そして、ダニロフも……ヴァシリを利用して成り上がって、酷い人だな、と思う方もいるかもしれませんが、彼の存在がこの映画には欠かせませんね。
彼がいるから光るヴァシリです。ヴァシリとは対照的だから、ヴァシリが引き立つんですよね。
ヴァシリと戦うケーニッヒ少佐も魅力的ですね。落ち着いて、これぞベテラン、という感じです。
そのケーニッヒ少佐の扱いを勲章を彼は外したから、その後の彼の行方を知らなくても不思議ではない、としたこの作品は上手いですね。
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