2017年9月30日土曜日

映画雑談『タイトルとラストシーン』


肯定
 今回は、映画雑談という形で、『タイトルとラストシーン』の話題です。


 テツガクちゃんは、2016年の話題作の『君の名は。』と、2008年の『ダークナイト』という二つの作品を知っているかな? 


テツガクちゃん
 もちろん、知っていますよ!

 私も肯定さんと同じくらい映画が大好きですから。
 ちゃんと両作品とも押さえています。

 それで、この両作品のタイトルとラストシーンが、今回の話題ですね?


肯定
 そうなんだよ。

 どちらも『タイトルがラストと繋がる』というスタイルでね。
 珍しいスタイルという訳ではなくて、他にも『デジャヴ』という映画も近いスタイルだと思うよ。

 でも、今回は『君の名は。』と『ダークナイト』は、同じスタイルでも受ける印象が全く違う、ということを紹介できたら、と思います。

 まず、タイトルとラストが同じ、というのは、その名の通りなんだけど……。
 一応、例えを紹介します。
 『アーサー王の伝説』というタイトルの映画があったとして、ラストで賢者が主人公に「今日からあなたの名は……『アーサー王』!!」という感じに終わる映画。
 まさに、『ダークナイト』のラストシーンなんですけどね。
 こういうのが、タイトルとラストが同じ映画、というやつです。


テツガクちゃん
 そうでしたね。

 よくよく考えてみれば『君の名は。』も『ダークナイト』も、同じスタイルと言えますね。

 それで、受ける印象が違うというのは……。
 どちらも素晴らしい映画で、特に印象の違いはないような気がしますが?


肯定
 そう、どちらも素晴らしい映画!! 
 決して、どちらが上とかではなくて、ただ『印象が違う』ということを説明するね。
 
 まず、『君の名は。』というタイトルは、本編でもよく言われる言葉。
 瀧と三葉の二人が『君の名は?』とお互いに問いかける。
 それは、本編中にずっとあって、お互いに確認し合っている。
 ただ、設定上忘れてしまうから、忘れては思い出すを繰り返す、という感じだよね。

 一方、『ダークナイト』に関しては、このタイトルが本編中に出ない。
 本編中でブルース(主人公)が「バットマンはヒーローではない」とは言うが、その答えをそこでは言わない。
 そして、物語の最後でゴードン警部が彼のことをこう表現する。
「彼はヒーローじゃない。沈黙の守護者。我々を見守る監視者。ダークナイト(暗黒の騎士)だ」
 ここで初めて、バットマンが『ダークナイト』だと観ている人にわかる。
 もちろん、ファンは既に知っている情報だけど、初めて見る人はここでバットマンが『暗黒の騎士』と知る。僕はそうでした。
 
 同じ『タイトルがラストと繋がる』手法でも、印象が違うと思わない?
 本編中で何度も聞いたタイトルの単語が答えの手法と、ラストで初めてタイトルの単語を出す手法。


テツガクちゃん
 たしかに違いますね。

 そう言えば、私も観ていてラストシーンに感じた想いが違いました。
 『君の名は。』は少しデジャヴ感を感じながら、「長い道のりを経てまた再会できて、よかったね」という穏やかな気持ちでした。
 一方、『ダークナイト』は言葉を失うような強い衝撃と、画面が真っ暗になる中、霧が晴れて光が見えるような感覚でしたね。

 「バットマンはヒーローじゃない」という台詞を、謙遜の言葉と受け止めていたのに、突然ラストでその答えが出た驚きでそう感じたのかもしれません。


肯定
 そうなんだよ。

 答えを何度も繰り返し、印象づけて幸せな気持ちに持っていく展開と、答えを出さずに、最後に突然その答えを持ってくることで、驚きと衝撃を与える展開。

 同じ『タイトルがラストと繋がる』スタイルでも、全く違う展開にできるでしょ?
 こういうのを見つけると、より映画が楽しめると思います。


テツガクちゃん
 たしかに同じ手法でも、こんなにも受ける印象が変わるとは……面白いですね!!


肯定
 ちなみに『ダークナイト』の方なんだけど、3部作の2作目でタイトルを変えたんだよね。
 『バットマン ビギンズ』から『ダークナイト』へ。
 ここにも拘りを感じますよね。

 始まりはバットマンなんだけど、2作目でダークナイトになる。
 だから、タイトルを変え、『ヒーローではないバットマンはなんなのか?』という答えを、最後に持ってくる。
 三部作の中の一つ、という広い視点で、映画作りをしていたんだろうな、と感じたり。

 他にも『ダークナイト』の本編では、『光の騎士』という単語がよく使われていたのも印象的だね。
 これが最後に語られる『暗黒の騎士』の話を引き立てている。


テツガクちゃん
 そうですね。広い視点で考えているように感じます。

 バットマンがダークナイトということは、ファンなら既に知っていると思いますが、それを知らない人に伝えるには、どうしたらいいのか? という事をよく考えられていたように思えます。
 
 『君の名は。』の方も「君の名は?」という日常にあるワンシーンをどう演出するか? という事に拘っているように感じます!

 どちらも本当に素晴らしい作品です。
 その両方に出会えた私達は、ラッキーですよね!


肯定
 その通りだね、テツガクちゃん。
 『君の名は。』に『ダークナイト』はとてもお勧めの映画です。
 いつか個別にレビューが書けたらいいですね。

 今回の2作以外にも、たくさん素晴らしい映画があるので、是非自分の視点で映画の世界を広げると、より楽しめると思います!




これまでに紹介した映画のリスト
『テツガク肯定のお勧め映画まとめ』



それでは、また次の機会にお会いしましょう。



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グリフィン理論

  いつだって10月だし11月だし3月なんだ。  このグリフィンさんの教えは贈り物。  誰だってジェイソン・ボーンだしジェームズ・エドワーズ。  ロバート・アンジャーでローン・レンジャー。  そして、ネオでもある……忘れているだけで。