肯定
テツガクちゃん、カオス理論の『バタフライ効果』という考え方を知っているかな?
南アメリカで蝶が羽ばたけば、テキサスで竜巻が起きる。
そんな考え方。
テツガクちゃん
聞いたことがあります。
少しその話は、『風が吹けば桶屋が儲かる』という話に似ていますね。
いろんな理由で桶屋が儲かる話がありますが、私は『風が吹くと寒い。寒いとみんな風呂屋に行く。だから桶が売れる』という話を知っています。
本当はもっとややこしい話らしいですよね。
『風が吹いて、土ぼこりが人の目に入り、盲人が増え、盲人は三味線を買い、三味線が売れるから猫がたくさん殺され、ネズミが増え桶がかじられる』 だから、桶が売れ、桶屋が儲かる。
この場合、凄く長い過程を経て、最初に吹いた風とは無関係に思える桶屋に影響がありました。
『バタフライ効果』も『蝶々の羽ばたきと竜巻』という一見、無関係に思えるものが影響する、ということですか?
肯定
そうだね。
そういう無関係な要素が、目の前にある結果に影響している。
ただ、中には『バタフライ効果』と『風が吹けば桶屋が儲かる』は全く違う、と主張する人もいるけど、それはミクロな視点な話で、マクロな視点で考えれば、そこまで差はない、と僕は考える。
正確さより、わかり易さが大切だから。
どちらの話も、『目の前の結果とは、一見無関係な要素がそれに影響していて、それを知るのは難しい』という部分を理解できればいいと思う。
ただね。この話は、カオス理論の一面に過ぎないんだよ。
カオス理論には、一見不規則で予測不可能な現象も、よく観察すると数値化できる規則性がある、という面があるらしいんだよ。
あっ、それについては映画『カオス(2006年)』という作品を観ると分かり易いですよ。
ついでに、『ナンバーズ』という海外ドラマもそれに近いです。
テツガクちゃん
えー!?
それでは、『風が吹けば桶屋が儲かる』の話も数値化できる、ということですか!?
肯定
できるみたいだよ。
例えば、冷たい風が吹く確率0.1(10日に1日)、風が吹くと寒いと感じる人0.6(10人に6人)、寒いから風呂屋に行く人0.4(10人に4)とした場合。
導き出される答えは、0.1×0.6×0.4=0.024。
このケースなら1000回冷たい風が吹けば、24回儲かるかも? と言う感じかな。
ただ、過程が増えれば、その確率は1000万回に何回と言う話になってしまうから、天文学的な確率になりそう。
でも、ちゃんと一つ一つの現象が起きる確率を当てはめれば、最終的な確率は導き出せるみたい。
テツガクちゃん
本当ですね。
この場合は、桶屋が儲かる確率は1000回に24回ですか。
私、桶屋を始めよう、と思います!!
冬に始めれば、冷たい風が吹く確率も上がりますし、いいですよね!
ところで、一回でどれくらい儲かりますか?
肯定
えっと、そこはわからないかな……。
例えば、普段40人来るお店に50人来ても1000人来ても、どちらも儲かってはいるからね。
『儲かる』というボーダーラインをどれくらい超えられるか? というのは未知数なんだよね。
もちろん、それを含めたデータを入れれば、導き出せるかもしれないけど……。
テツガクちゃん
そうなんですか……。
ところで、桶屋の話も蝶々の話も最終的な結果は導き出せる、と言いますが、それは不可能ですよね?
なぜなら、『本当の最終結果』は、まだ起きていないじゃないですか?
肯定
テツガクちゃん、鋭いですね。
そうなんだよ。竜巻が起こるや桶屋が儲かる、というのは視点によってはミクロな結果に過ぎない。
その後、どうなるか? という本当の意味での最終結果は、導き出せないのかもしれない。
例えば、桶屋はその後順調にお店を続けるのか、それとも事業拡大で破産してしまうのか?
仮に破産した場合。その後に新事業を展開するのか、しないのか?
桶屋が順調な場合。他の業種はどうなるのか? などね。
蝶々の話もそうで、竜巻が来た結果。その後の気象状況がどうなるのか? という本当の意味での最終結果はまだ起きていない。
蝶々の羽ばたきが原因で、地球が崩壊するのか、しないのか?
テツガクちゃん
そうですよね。
それから、肯定さんの説明で気づいたのですが、蝶々の羽ばたきが原因で地球が崩壊する、という例え。
これは、常に私達の行動が、何かの結果に影響を与えている、ということですよね?
肯定
あっ、確かに……。
カオス理論を考えてみると、僕達の何気ない行動が、とても大きな結果に影響を与える、と考えることが出来るね。
そう、小さなことの積み重ねが、大きな結果を生む。
僕が好きな野球選手の言葉のアレンジです。
そう考えると、日々の行動を少し考えないといけないかもね。
だって、地球崩壊の原因は、僕が寝過ぎていたのが原因とされるかもしれないから。
カオス理論は、『日々、後悔しない行いをしよう』と問いかけているのかもしれない……。
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それでは、また次の機会にお会いしましょう。
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