肯定
テツガクちゃんは、夢の中で何かいい経験をしたりしない?
例えば、夢の中で何かプレゼントを貰うとか。
テツガクちゃん
夢ですか……。
実は私、夢を見たことがないんですよね。
だから、特にそういう経験はないですね。
肯定
えっ、そうだったの!?
ごめんね。変なことを聞いてしまって。
テツガクちゃん
いえいえ、それより夢の中の出来事が今回の話題ですよね?
どういうお話ですか?
肯定
あっ、えっと、最近見た夢なんだけど、家族からプレゼントを貰う夢を見てね。
それは子供の時から欲しかったもので、『やっと夢が叶った!!』という幸福感を夢の中で感じたんだよ。
その後は、家族と買い物をしているんだけど、そこでも同じ幸福感を感じた。
ただ、これは夢だ。そこから覚めれば、夢だったとわかり落胆する。これまでは。
でも、最近『これは夢だ』、とわかっていながらも嬉しいという気持ちは変わらず、子供の時のように落胆もしなくなったんだよ。
テツガクちゃん
不思議ですね。どうして今は落胆しないのですか?
だって、そのプレゼントは夢の中ですよ?
肯定
そうだね。それは夢の中の幻の経験だ。
なぜ今は、それが夢だと夢の中で気づいているのに、落胆せず『本物の幸福感』という感情があって、それが覚めても続くのか?
それは、僕にはわからない。
もしかしたら、今は夢の中でしかプレゼントを貰えないから、そういう夢が見れただけで『幸せだ』、と本能が思っているのかもしれない。
それに家族と出かけることも最近ないし。
でも、不思議なのは落胆しないことじゃない。
夢の中で抱く感情が『本物である』ということなんだよ。
テツガクちゃん
『本物の感情』を抱いているのですか?
肯定
今回はいい夢だったけど、怖い夢だってよく見るんだよ。
そこで感じる恐怖の感情も本物。
下手したら実際より、迫力がある恐怖かもしれない。
なんせ夢で見る怖い経験は容赦ないからね。
そこで感じる恐怖は半端なものじゃないし、途中で目覚めたり寝るのが怖くなる事だってある。
でもね、それは夢の中で抱く感情なんだよ。
僕が子供の時に、それを恐れるのはわかる。
でも、今は『それが夢だ』、と夢の中でも気づいているのに、なぜそれを恐れる?
テツガクちゃん
たしかに、『それは夢という幻だ』と気づいていながらも、そこに恐怖を感じるのは不思議なことですね。
あっ、こんな可能性はどうですか?
実は夢と現実の境界はとても曖昧で、映画『インセプション』のようにまだ肯定さんは夢の中にいる。
夢の中で私と話をしているのかもしれません。
肯定
テツガクちゃん、ナイスチョイス! この話に『インセプション』を持ってくるとは。
そうだね。僕は『夢から覚めたように思っているけど、まだ夢の中にいる』のかもしれないね。
もしかしたら、夢の中にいるから感情を抱くのかもしれない。
本当の意味での目覚めの先では、人は感情を持たないのかもしれない。
テツガクちゃん
『私達は夢の中にいるから感情を抱く』という考え方ですか?
それなら、『なぜ物語に感動するのか?』ということにも同じことが言えますね。
私達はずっと夢の中に生きていて、そこで物語を見るから『感情を抱く』と。
もし、本当の意味で目覚めた時、そこでは、人は『感情を抱けない』のかもしれません。
その真相は、プラトンさんの『洞窟の比喩』同様に、きっと『永遠に知りえない』ということで、いいのではないでしょうか。
だって、人の本当の姿が『感情を抱けないもの』というのは、なんか寂しいじゃないですか。
肯定
たしかに、それはちょっと寂しいね。
夢でも現実でも物語でも感情を抱くし、最近の僕はそれが夢だとわかっていても本物の感情を抱く。
どういうわけか感情を抱く。
それは僕が、ずっと夢の中にいるからかも知れないけど、その真相は『永遠の秘密』にしておいた方がいいのかもしれない。
それから、人の本当の姿も『永遠の謎』の方がいいかもしれないね。
『永遠に真実不詳の人間』の方が『不死身のキャプテン』みたいでロマンがあると思いません?
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それでは、また次の機会にお会いしましょう。
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