2019年8月6日火曜日

ありがたい自己責任が説く、自業自得の真理


 私には『自己責任』や『自業自得』が見えません。
 それらは、立派な人だけが味わえる幻の水あめです。
 だから、私にはその味がわかりません。



 



テツガクちゃん
 気づいていしまいました……私……。
 私は立派とは程遠い、粗末な存在ということに……。


肯定
 どうしたの!? ガクちゃん!?
 肯定という名前だけど、それには肯定的になれないよ。

 でも、僕が何か言うより、どうしてそう思うの?
 その理由が知りたいよ。 


テツガクちゃん
 私には自己責任という責任感がなく、自業自得という感覚もわかりません。
 ですから、立派とは程遠いな……と思ったんです。


肯定
 なるほどね。
 ガクちゃんらしいね。


テツガクちゃん
 肯定さん、笑い事ではないですよ!
 これは一大事です!

 誰かの自己責任が見えず、人に自業自得も説けないんですよ!?


肯定
 ガクちゃんは立派な仙人になりたかったの?


テツガクちゃん
 えっ、仙人ですか?
 当たり前という魔法の使い手、という仙人ならなりたいですが……。
 立派な仙人というと……興味がないですね。


肯定
 それならいいじゃない。
 それが普通なんだよ。
 
 人の自己責任や、自業自得が見えるはずがないじゃない。

 他人の責任を自己責任だ、と追及できるほど立派な人に、僕はなりたくないし。


 そもそも、誰かの自己責任を追及する責任。

 そんなもの、ありやしない幻さ。
 もう自己責任という自分の敷地を出ているんだもん。
 
 責任は自分で背負うもの。

 それ以上でも、それ以外でもない。

 それから、自業自得もそうだね。
 何が業で、得なのか。そんなのわからない。
 得な話だと思って乗ったら、とんでもない損に出会ったり。
 業のような行いで得と出会ったりさ。

 
テツガクちゃん
 肯定さんが業のような行いですか!?


肯定
 だって、僕、三冠王を狙っているから。
 詐欺師と大泥棒と作家。
 詐欺師や大泥棒なんて業そのものじゃない。

 人を騙し欺いて、時間と気持ちを盗む。
 これはとんでもない罪だよ。
 
 だから、ごめんね。
 僕の相方だから、立派とは程遠く思えるのかもしれない。


テツガクちゃん
 いえいえ!
 私もその大罪を犯したいです!

 よく考えたら、自己責任や自業自得がわからなくても、今に満足していますから、それでいいのかもしれません!
 本当に、何が業で何が得かわかりませんね。

 他人の自己責任を見つけ、自業自得を知り尽くし、それを誰かに説くことはできませんが、そんな人物の物語は描けそうです!

  偽りという罪を犯せば。

 その物語は業なのか、得なのか。
 どちらなのでしょうか?

 その答えは、はだかの王様の後を追う私には、知りえない秘密のようです。


肯定
 そんな秘密も大切だよ。

 自己責任、自業自得。
 それは立派な人だけが味わう水あめなんだよ。

 その味を知ることがなかった少年の物語。
 少年がその物語の先で何を見るのか、気になりませんか?

 もし、気になるのなら、その水あめをトタン屋根にあげてしまいましょう。
 そして、違う秘密の味を探しに、夜の扉という運命を開きましょう。


 その先の景色は、あなたにしかわからない。秘密の世界です。






それでは、また次の機会にお会いしましょう。




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穏やかな青さに身を任せるな

  穏やかな青さに身を任せるな。  諦めた夢を燃やせ。  のさばる星屑に怒りをたぎらせろ。  いかれ、いかれ、奪い取る星に。  飛べ、飛べ、白い影に。