2019年8月1日木曜日

届かない手紙 13通目

 
 拝啓
 
 歌う不死蝶様、過ごしやすい夏と油断しているところに、息苦しい暑さが顔を出してきました。
 その暑さの中、違う息苦しさと共にある今の私。
 そこには様々な理由があります。

 理解されない何かだったり、話したいことが多すぎて、言いたいことも言えない。そんな日々です。

 だけど、この息苦しさ。
 それが大切なことに気づいています。
 お蔭さまで、ほんの少し人を愛するということ。
 それを手放さず、共に手を取って歩んでいます。この夏の中を。

 そこで懐かしい物語の大きな節目に出会いました。

 ちょうど20年前の今日。

 8月1日に旅立った子供達と、今も続くあの伝説です。
 遠い夏の伝説は錆びつくこともなく、今もあり続けています。
 歌う不死蝶さんや他の方々の歌もしっかり届いています。

 その物語を忘れずに、私も新しい旅へ出かけたい。
 そんな気持ちと気分が混ざった、曖昧ですが確かな夏の風を感じています。
 気づけば、知らない場所の香りと、未知への道を示す幽かな光も見えて。
 冒険へ出かけるには、十分な理由が揃いました。

 あの伝説から20年先の今。
 結局、私はピーターパンにはなれませんでした。
 本当にそうなりたかったのか。それもわかりません。
 ですが、ハンパにも成長せず、未完成のままです。

 そんな常識から大きく外れた、今、この瞬間。
 それはそれでいいな、とハッキリと答えられます。

 もちろん、やらなきゃいけないこと、やりたいこと。
 それらも未完成のまま、というのは問題ですが。
 それが問題ということはわかっています。
 
 問題が見えているのなら、それはいいことだと思います。
 ハンパに成長して、問題や遠い夏の伝説も見えなくなるよりは。

 なにより、私にはこの問題と向き合う、愛おしく頼もしい相方がいます。
 彼女は表幻者、私はその助手。
 きっと、霧の都の名探偵と助手にも負けない関係だと思います。

 そのステキな関係のお蔭で、私は今も彼女と夢を共に見て、夢見心地な旅人です。
 きっと、彼女とならここから。この20年後の8月1日からも新しい一歩を踏み出せそうです。

 歌う不死蝶さんにとって、今年の8月1日はどうですか?
 今、どんな景色を見ているのでしょうか?
 『Mr.ジョーンズ』な私に、その答えはわかりません。
 ですが、なんとなく似た景色を見ているような。そんな気がします。

 何か新しい冒険が始まりそうな、そんな一日の景色です。
 その空を共に見て、幽かでも同じ風を共に感じられたら……。
 中間色の夜明けから、過未の領域を抜けて、あなたに会いにいけたら……。

 そんな気持ちと共にまた一歩。
 もう二度と戻らない、一歩。
 最初でもなければ、最後でもない一歩。
 それをこのまま、様々な気持ちと共に感じる。共感の物語を描けたら。

 その欲望と共に、このまま幽霊船のように時空の海を進んでいきます。
 時々消えたり、見つかったりしながらも、振り返らず突き進む。
 終わることのない航海の旅へ。
 歌う不死蝶さんの歌と、遠い夏の伝説の物語と共に。

 
 そして、いつか。この旅のどこかで。
 歌う不死蝶さん、あなたと出逢う。
 最高の瞬間を私の物語のページに描く。
 その日を私は目指します。


 
  

 それでは、また次のお手紙でお会いしましょう。


 敬具


 歌う不死蝶様と共に未来の夢を見る一人より






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砂漠でアマゾンを探している

 多くの人は砂漠でオアシスを探している。  平和ってオアシスを信じて、求めて彷徨う。   隣にアマゾンがあっても、砂漠の中で探す。  今、本当に欲しいもの、ITを忘れかけながら。  砂漠のオアシスなのか、豊かな水源があるアマゾンなのか。