2019年10月23日水曜日

届かない手紙 15通目


 拝啓


 歌う不死蝶様、まだ私には夏の終わりに突き抜けた。
 あの虹の稲妻の残像が、はっきりと見えています。
 もう神無月なのですが……。

 離れていく過去の今と現在の今。

 それらを繋ぐように突き抜けた、あの稲妻。
 その稲妻は、一部の遠い記憶まで、はっきりとした形に変えました。

 それは、私が初めて夢中になって、私の無中を飛んだ。

 あの『Butter-Fly』の記憶です。
 思い出や記憶という秘密。
 それらを音速や光速を超えて、繋いでしまった。

 あの『サンダーボルト』。

 14才に戻れるスイッチが、どこかにあるように。
 一瞬で過未の時空を突き抜け、駆け抜ける。
 そんな電光石火の稲妻に出逢い。

 人が描く魔法の凄さを改めて知りました。
 
 遠くに感じてしまう、過去や未来。
 それを一瞬で繋いでしまう今、この瞬間。
 その事実は、大切な当たり前です。
 そして、大切なものは見失いやすい。
 これも同じ当たり前です。

 きっと、私はこれからも、それを
何度も見失うでしょう。 
 ですが、また必ず出逢う。
 そんなロックンロールな風に気づいています。
 私も相方も同じ『Mr.ジョーンズ』ですから。

 いつか私達も、過去と未来。

 その過未の時空をもっと自由自在に歩けたら。
 最新型の自分とステキな相方と共に歩けたら。
 霧の中から夢中な速度で、無中な無宙へも行けそうです。

 加速の旅路、その途中で出逢う誰か。
 それがあれば、また面白い何かに出会っていく。
 そういうロックンロールのようなエンジンを動かせたら。
 見えるものや見えないもの。
 その境界線も越えて、歌う不死蝶さん達と新しい物語を刻めそうです。

 そんな夢の途中の今。
 だけど、最高の今。
 このまま、今、この瞬間と共に。
 未完成の物語を刻み続けます。

 虹の稲妻が見せた『サンダーボルト』が、『Butter-Fly』を突き抜けたように。
 私と相方も終わらないメタモルフォーゼで駆け抜ける。
 そんな気持ちを乗せる風と、記憶の光が見えています。

 きっと、この風と光は、歌う不死蝶さんからの贈り物だと。
 そう気づいている相方と、その相方を信じる私がいます。

 光を司り、風を起こす、歌う不死蝶さんの目には見えない力。
 それに気づけるのも、信じられるのも、同じ目には見えない力。
 とても面白い法則だと、私も相方も思っています。

 その法則が面白そうな記憶の目的地を見つけました。
 それは、怪物の王女様が活躍する物語です。

 ちょうど神無月ですから、神様が留守の間に、闇の世界の住人の話も聴いてみようと思います。
 物語が走り続けられる、その秘訣だったり、深淵の慈悲深さの秘密などを。

 そうやって、一歩ずつ。
 星と星を繋げば、凄い星座が描ける気がします。
 それが、歌う不死蝶さんがいるフロンティアへ届いたら、と。
 手紙などの記録ではなく、気持ちなどの記憶の方が届けば。
 
 そんな日を楽しみに。
 手紙の形の記録の中に、物語の記憶の字を刻みながら、時も刻んでいきます。
 様々な音速ジェットや光速列車に出会い。
 そこで出会った気持ちの旅人と話をする。
 私達の幽かな霊魂、その幽霊船に揺られながら。




それでは、また次のお手紙でお会いしましょう。


 敬具 


 歌う不死蝶様と共に未来の夢を見る一人より


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グリフィン理論

  いつだって10月だし11月だし3月なんだ。  このグリフィンさんの教えは贈り物。  誰だってジェイソン・ボーンだしジェームズ・エドワーズ。  ロバート・アンジャーでローン・レンジャー。  そして、ネオでもある……忘れているだけで。