2019年10月23日水曜日

中間色の思い出


 もし、思い出に色があるのだとしたら。
 きっと、それは曖昧な中間色。
 昨日ように思いだすけど、本当の昨日は忘れていた曖昧な色。 







肯定
 もし、思い出に色があるとしたら。
 きっとそれは、ガクちゃんの髪や瞳のような、中間色なんだろうね。
 

テツガクちゃん
 急にどうしたのですか?
 と驚きながらも、思い出の色が中間色ですか……。
 それは、ステキな思い出ですね!


肯定
 ステキだよね。
 最近、そんな思い出と再会したんだ。
 
 何気なく観た古い映画。
 そこから、懐かしい思い出が訪ねてきてね。

 遠い昔に、その映画を隣街の映画館まで観に行った思い出。
 今はもうない、隣街の映画館。
 だけど、まるで昨日のことを思い出すように。

 本当の昨日は、その思い出のことすら忘れていたのに。
 そんな昨日なんか、まるでなかったかのように。 


テツガクちゃん
 思い出ってステキですね!
 遠い昔のことでも、まるで昨日のように感じさせる蜃気楼。

 ステーキな幻です!
 たしかに、曖昧な中間色という感じですね!
 

肯定
 そうだね。
 鮮明でハッキリとしているのは、今、この瞬間だけ。
 
 過去も未来も曖昧な蜃気楼のようなもの。
 だけど……そういう曖昧な中間色の世界の方が、全てなのかもしれない。
 
 ハッキリとした今、この瞬間の方が幻だったり……。
 というのは、今は置いておいて。

 とにかく、思い出ってステキだよね。

 曖昧で歪んだりねじれたり、揺れて乱れて行く『紙飛行機』のような。
 いや、神話が描かれた手紙の神飛行機か。
 それとも、過去と未来、その過未の時空を飛ぶ過未飛行機か。

 ということも、どうでもよくて。
 全てトタン屋根に投げておきましょう。

 とにかく、思い出って凄いよね。
 

テツガクちゃん
 そうですね。
 思い出は、過去と未来、その過未の時空に散りばめられた星星のようですね。
 そして、その世界を今という風に乗って旅する旅人。

 その速度は電光石火よりも速く、動いていることが信じられないほどの速さ。
 まるで、動きながら止まっているような。
 『存在と同時に存在しない』速度なのかもしれません。 

 だから、遠い昔の過去も昨日のことのように、感じたりするのでしょうね。


肯定
 そんな気がする!

 それから、遠い先の未来にある思い出もね。
 まるで、明日のように感じることがあったり。

 曖昧で中間色のような思い出。
 もし、あなたも同じ色の思い出。
 その幻を見ていたら、同じ気持ちを感じる日が来るのかもしれません。

 曖昧で、頼りなくて、ぎこちない思い出。
 そんな中間色の思い出が訪ねてくる、その日を楽しみにする。
 それは明日かもしれません。




それでは、また次の機会にお会いしましょう。





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無関心は希望

 好きの反対は無関心。  そんなたわ言、誰が言ったのか知らないが。   今の私からすれば無関心は希望。  今まで気づけなかった、その未知は。  愛しの故郷、待ちきれない今は夢の今。