論外の世界

　『論外の世界』。
　それはとてもステーキな世界です。
　なぜなら、そのステキさを論ずる必要がない世界ですから。







肯定
　最近さ、『論外の世界』もいいな、と思うことが増えたよ。
　そうだな、『常識はずれな世界』とも言うのかな。

　そんな世界。


テツガクちゃん
　たしかに、面白そうですね！
　私も行ってみたいです！


肯定
　えっ、ガクちゃんはそこの住人じゃない？
　という冗談は置いておいて。

　絵とかを描いていると、もっと技術があれば、違う景色が見れるはず……。
　そんなことを思うこともある。
　
　でも、きっと、どんなに技術を上げても、違う景色は見れないんだよ。
　少なくとも今の僕にはね。

　仮に世界で一番の技量を持っても。
　それを評価できる技量を持った人。
　それは本当にいるのだろうか？
　そして、その一番の技術で、既にあるランキングに割って入る力。
　それが本当にあるのだろうか？


テツガクちゃん
　そうですね。
　どんなに素晴らしい絵でも、それをいいと思える人がいないと評価されませんね。

　今、私達の目の前にあるのは、支え合いによって築かれる、伝統の世界のような気がします。


肯定
　本当にそうだね。

　そんなステキな支え合いの世界ではさ。
　仙人のような技とか強力な魔力とか。
　それらは、僕達が生み出した錯覚の幻なのかもしれない。
　そんなことを考えるようになってね。
　
　圧倒的な技や力、それに憧れる気持ちも大切だけど、それよりももっと凄い世界。
　それがやっと見えたみたい。


テツガクちゃん
　それが『論外の世界』ですか？


肯定
　そう！
　だって、凄いと思わない？

　技術や評価など関係のない、『論外の世界』。
　論ずる必要がないくらいの当たり前の世界。

　きっと、誰もが最初はそこから旅立った。

　そんな様々な形の余計な論議を忘れる、『論外の世界』への風が今吹いていてね。
　なんとなく、僕の探しものはそこにあるような気がする。


テツガクちゃん
　探しものを手にしながら、そこへ里帰りするのですか？
　肯定さんも私と同じ『論外の世界』の住人ですね！
　という化けた道の冗談は、トタン屋根に投げておきましょう！

　『論外の世界』、本当にステキな世界ですね！
　時には、余計なことを忘れて、今吹いている風に乗るのもいいですね！
　
　常識や論議、そんな世界が小さく見える。
　その外の世界。
　時にはそこへ里帰りしましょう！




　　　

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それでは、また次の機会にお会いしましょう。