2020年6月24日水曜日

『一攫千金』と『分割百均』


 『一攫千金』の夢を狙うのだから。
 辛いのは当たり前、そう『やめろ大臣』が喚き。
 そのリズムで、加速した誰かが目にしたのは。
 想像した『一攫千金』ではなく、ネズミにかじられた半分。
 マルチな『分割百均』だった……。 





  
肯定
 昔、面白い光景を見てしまったんだよ。
 
 近所に、『一攫千金』を食べさせてくれる店ができてね。
 たくさんの人がお店に並ぶんだよ。
 そして、その行列を眺める人はこう言うんだ。

 これから『一攫千金』を食べるのだから。
 何日も並ぶのは当たり前。
 寝れないのも当たり前。
 他に何も食べられないのも当たり前。
 熱くて寒いのも当たり前。
 汚れて気分が悪いのも当たり前。
 そんな辛さで、死にたくなるのも当たり前。

 だけど、その環境に文句を言いたくなるのは……。

 当たり前じゃない、と違う声が飛ぶ。

 気がつけば、『やめろ大臣』も現れて、嫌なら辞めろと常套句。
 だけど、大臣は辞めない常套句。

 そんな景色を描く、『一攫千金』なんだけど。
 ガクちゃんは、この『一攫千金』を食べてみたい?


テツガクちゃん
 いえ、私は……。

 自分でステキなステーキを焼こうと思うので。

 『一攫千金』の味や香り。
 私の関心は、それに気づけないようです。
 
 ですから、もうしばらく。
 眠っている関心には、トタン屋根の上で休んでいてもらいましょう。


 ただ、並んでいたお客さんの感想は知りたいです。
 けっきょく、『一攫千金』を食べることはできたのですか?


肯定
 そうだよね。
 この景色の結末は気になるよね。

 店に並ぶ人を眺める誰かが監視の目を光らせ。
 不満を言う人を叩く。
 そのリズムで、行列は加速し消えていく。
 
 そして、辿り着いた店内の机。
 その上に現れた『一攫千金』。
 だけど、目の前に現れた、その姿は半分だけだった。

 訊ねると、既に店の主人が半分食べていた。
 

テツガクちゃん
 なんですか!? その結末は!!

 それでは、『一攫千金』ではありませんよ!
 どちらかというと、『分割百均』じゃないですか!

 
肯定
 『分割百均』か。
 たしかに、そう呼ぶのが相応しいね。

 どこかの偉そうなネズミがかじった『一攫千金』。
 そこに、すり寄るマルチな『分割百均』。

 『一攫千金』なんて、ありはしない幻なのかもしれないね。
 少なくとも僕には見えないし、ガクちゃんにも見えなさそう。

 とはいえ、その幻を見る目はとてもステキなもので。
 むしろ、それが見えない僕達の方がステーキとは程遠く。

 だけど、そのステキな気持ちや幻を見る何か。
 それが、ネズミのマルチな焼き方で焼かれてしまうのは……。
 と余計なお世話を焦がす、この気持ち。

 この焦げたお世話に、もう少しだけお時間を。

 とても大切な自分自身のあらゆるもの。
 どうすれば、それらがステキなステーキになるのだろうか?
 そう考える時間も、同じように大切にしていく。

 それができれば、どんな決断もステキなステーキに変わるでしょう。
 ネズミのマルチですら。
 
 そういう決断の刻に向かえるように。
 大切な準備の一歩を刻んでいく。
 
 きっと、あなたならできますよね?
 自分自身について考える時間と空間。
 その時空を大切に歩んでいくことが。

 と誰もが知っている、『当たり前』という占い師が言っていました。
 僕達もその占いを信じています。
 
 最後に、『一攫千金』を追う方々へ。
 辛い時は不満を言ってもいい。
 死にたくなったら逃げてもいい。
 何もない時は、そこに夢を見てもいい。
 
 そんな全てを許せる、寛大な偉大さ。
 その偉く大きな心で決断すれば。
 『一攫千金』も幻じゃなくなる、そんな気がします。








 

それでは、また次の機会にお会いしましょう。











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砂漠でアマゾンを探している

 多くの人は砂漠でオアシスを探している。  平和ってオアシスを信じて、求めて彷徨う。   隣にアマゾンがあっても、砂漠の中で探す。  今、本当に欲しいもの、ITを忘れかけながら。  砂漠のオアシスなのか、豊かな水源があるアマゾンなのか。