2020年8月26日水曜日

それとは違う


 それとは違う。
 そんな境界線を滅多矢鱈に引いたところで。
 何が違うのかは説けない。
 『ゲンジツ』とは違うといえるほど。
 その『ゲンジツ』のことを知らないのだから。





テツガクちゃん
 気づいてしまいました! 私!
 『それとは違う』という境界線などないことに。

 例えば。
 物語とは違う、ゲームとは違う、ネットとは違うなど。
 様々な違いを主張する言葉達が引く、あの境界線です。

 きっと、そんな境界線など、ありはしない幻です。


肯定
 たしかに、そうかも。

 『それとは違う』という境界線。

 それは、『存在と同時に存在しない』幻だね。

 その線がある、と信じ込んで、存在すると思っている幻。
 だけど、そんな線は最初から不存在な幻。

 ややこしい幻によく気づいたね。
 どうやって、その境界線が幻だと気づいたの?


テツガクちゃん
 それとは違う、と言いながら。

 それと変わらない光景を目にしたからです。

 そうですね……。
 『物語と現実は違う』という使い手ほど。

 『現実』と呼ばれる世界の中で、『物語』のような振る舞いをしていたり。
 『ゲームとは違う』という使い手ほど。

 まるでゲームのように、効率よく作業的に動いていたり。
 

肯定
 たしかにね。

 『現実とネットは違う』というわりには……という達人もいるし。
 意外と、『それとは違う』という達人ほど、足下を見失っているのかもね。

 物語の中にある、歪んだ自由の危険性。
 ゲームの中にある、作業的な快楽。
 ネットの中にあるらしい、匿名性というミサイルの大き過ぎる力。

 きっと、それらは、そこに確かにあって。

 そして、違いという境界線の内側にも外側にもあるもの。
 だって、全ては『ゲンジツ』と呼ばれる場所。

 そこで作られたものだから。
 

テツガクちゃん
 そうですよね。

 
 誰かが引いた。
 違いという境界線の向こう側にある、様々な形の世界。
 そこにある何かを見つけ、危険性を感じる。
 それは、とても人らしい、と思います。

 各自が考えた答え。
 それは、どれも大切なものです。
 答えがでなくても、考えようとする姿勢がとても大切です。

 ただ、一方的に『それとは違う』という境界線だけを引く、その姿には……。
 ほんの少し、確かな重さの危機感を感じます。

 盲目的に線を引いても。
 安全は約束されません。
 越えてしまうものは、乗り越えてしまいますから。

 そんなことを思う、私も人らしいのでしょうか?


肯定
 ガクちゃんのその姿は、とても人らしいよ。凄くね。
 人らしく、なんて考えるのは人らしくない、と考える姿が人らしいように。

 疑問を感じて、何かを考え、危機感を持つ姿は人らしいよ。

 境界線の向こう側の世界にあるもの。
 それは当然、境界線の先、『ゲンジツ』の世界にもあるもの。
 
 それに気づかない振りをして、『それとは違う』という境界線を引くなんて……。

 なかなか、面白いことだと僕も思うよ。
 まるで、物語のような話だよね。

 だから、僕もその光景にガクちゃんと同じ危機感を感じるよ。
 
 
テツガクちゃん 
 本当ですか!?
 それは嬉しいです。

 この危機感を共に感じる、この共感の時空が。

 あなたはどうでしょうか?
 目の前にあるらしい、境界線。


 本当にそれは、二つの世界を区別しているのでしょうか?
 感情やあらゆる全てのもの。

 それらを、そこから一歩も通さない、と言えるのでしょうか?
 
 もし、境界線の向こう側の世界で、何かを感じたのなら。
 それは、境界線を越えて、気持ちが伝わり届いている、ということです。
 そう考えると、『それとは違う』という境界線。

 そんなものは、ないのかもしれません。

 いつか、あなたも確かめに行きませんか?

 幻なのか、本当なのか。
 ラインの先に、『それとは違う』という境界線。
 それが、確かにあるのかを。 









それでは、また次の機会にお会いしましょう。










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太極拳を練習して

  太極拳を練習して……。  スノーボードチャンピオンになってしまった。  車のタイヤも直せちゃう、Rock Starがいれば。  同じように太極拳を練習して、シスの暗黒卿になった。  重力だって外せちゃう、ワガママ・クイーンもいる。