2020年12月26日土曜日

届かない手紙 19通目

 




 拝啓

 歌う不死蝶様、お久しぶりです、と言っても。
 もう、お忘れになってしまっても不思議ではないほど。
 ご無沙汰してしまって、申し訳ありません。

 半年以上も便りなしでは。
 頼りないを通り越して、見えない幽かですね。
 変な言い訳をするつもりはありません。
 本当にご無沙汰してしまい、申し訳ありません。

 さて、無礼は承知ですが。
 この重い空気はここまでにして。
 実は、お話したい事が山のようにあります。
 きっと、その高さは富士山。いえ、ヒマラヤほどでしょう。

 ですが、その話の前に。
 今年、私がしたためながら、送れなかった手紙の話をさせていただきたく存じます。
 それが、このような内容です。 




 2020年になりました。
 歌う不死蝶様、どうか今年もよろしくお願い致します。
 この1年もステーキな年になったら最高ですね。

 そこで、2019年に出会った。
 新しい季節を感じさせる何かをご紹介したいと思います。

 それは、まるで春のような風でした。
 一度、プロ野球を引退した野球選手が。
 もう一度、プロ野球選手を目指すという意志を知らせる風でした。

 私はこの知らせを聞いて、とても心が熱くなりました。
 私と同じ気持ちで何かをしている人がいた。
 それも私よりも年上の大先輩です。

 若い人が無謀なことに挑戦することはあっても。
 年を重ねていくごとに、その心をどこかへしまいこんでしまう。
 そう、思っていた私の前の現れた、この方は英雄です。

 主役は若者だ! その合言葉が躍り出ますが。
 正直、若い人はこうも思うはずです。
 自分も憧れてしまう、そんな年長者を見たい、と。

 若さはあっという間に過ぎ去ります。
 その渦中にいるのですから。
 それは、もう明日にでも過ぎ去ってしまうものでしょう。

 そんな一瞬で過ぎ去ってしまう若さよりも。 
 若さを越えた先、熟年の世界で何ができるのか。
 私はそれをずっと見てみたかったです。

 ただ、椅子に座って日々を過ごし。
 全てを若さに譲っていく。
 そんな退屈な世界では。
 きっと、新しい世代に嫉妬心を燃やし対立することでしょう。

 年齢など関係ない、とまでは言いませんが。
 若さの中にしかないモノが、あるのだとしたら。
 熟した何かの中にしかないモノもある。
 
 年が連なった年連という数字はあまり重要ではなく。
 いつまでも欲望のまま突き進む、幽霊船の船長で在り続ける。
 そんな年長者を、もっと見たいと思っていました。

 そんなステキな英雄に2019年に出会ってしまいました。
 今年の冬のトライアウトを目指す英雄さん。
 そして、夏はオリンピックと。

 そこに歌う不死蝶さんの歌が運ぶ、風と光があれば。
 今年もステキな日々を積み重ねて。
 最高にステーキな1年を過ごせそうです。


 どうか今年もよろしくお願い致します。




 という内容が、本来の2020年の挨拶だったのですが。
 前回、お伝えしたとおり、今年はウィルス騒動から始まり。
 現在も収束していません。むしろ、現在は再び拡大しています。

 夏にあるはずだったオリンピックも中止で。
 選手の皆様も苦しい年を過ごしていました。

 そして、英雄さんの挑戦も……。
 自分自身と年齢には見事に勝ちましたが。
 この時代にだけは勝てなかったようです。

 ですが、まだこの話の行方はわかりません。
 引退などしない、と信じていた選手が引退したように。
 まだ、私達が知らない何かがあって。
 それに惑わされているような、そんな気もします。

 いろんな事があった、今年、2020年。
 その最後に、どうしてもお話したい事を。
 次の20通目に込めます。

 どうか、しばしお待ちを。




 それでは、また次のお手紙でお会いしましょう。


敬具 




歌う不死蝶様と共に未来の夢を見る一人より






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砂漠でアマゾンを探している

 多くの人は砂漠でオアシスを探している。  平和ってオアシスを信じて、求めて彷徨う。   隣にアマゾンがあっても、砂漠の中で探す。  今、本当に欲しいもの、ITを忘れかけながら。  砂漠のオアシスなのか、豊かな水源があるアマゾンなのか。