2017年7月16日日曜日
お勧め映画 第14回目『スリーデイズ』
個人的お勧め映画。
今回は『スリーデイズ』(2010年)です。
※このタイトルのスリーデイズというのは、収監されていた妻が突然三日後に移送されてしまう、という部分から来たと思います。
この映画は2008年のフランスの映画『すべて彼女のために』のリメイクです。
2年でリメイクということは、リメイク元の『すべて彼女のために』という映画も凄くいい映画だったんでしょう。
映画の簡単な内容です。
大学教授のジョンは妻と息子の3人家族で幸せな日常を過ごしてきた。
しかし、ある日妻のララが殺人の容疑で逮捕されてしまう。
妻の逮捕から3年、裁判では妻の無実が証明されず、妻の罪が覆ることはなかった。
妻の無実を信じるジョンだったが、それが証明されないとわかると、妻を脱獄させる計画を考える。
もう一度、家族の幸せを取り戻すために。
という感じの内容です。
※注意
最後にの項目にある『残念なポイント』にネタバレが入っていますので、ネタバレが嫌な方はそこはパスしてください。
個人的お勧めポイント
1、ジョン・ブレナンを演じるラッセル・クロウさんが素晴らしい
2、デイモンを演じるリーアム・ニーソンさんもまた素晴らしい
3、脱獄を成し遂げるのには何が必要かを細かく描写している
1、ジョン・ブレナンを演じるラッセル・クロウさんが素晴らしい
ラッセル・クロウさんはもの凄く有名な俳優さんで、『グラディエーター』や『ビューティフル・マインド』、『インサイダー』などに出演しています。個人的には、『3時10分、決断のとき』のベン・ウェイドが好きです。
素晴らしい俳優さんが演じるジョン・ブレナンはとても魅力的な人物です。
大学教授ということでもの凄く博識ですし、講義で学生に『ドン・キホーテ』物語の解釈を説明する時のジョンの台詞は最高です。
そんな博識な彼の脱獄計画です。穴はありません。
普通の脱獄計画は脱獄に重きを置きそうですが、ジョンはそれより脱獄後の作戦を練ります。
一人で無謀に考えずその道のプロを雇い、その知識を元に自分の計画を考える。そこが彼の凄さですね。
それから妻に対する深い愛です。
周りが証拠が彼女が犯人だ、と語っていると匙を投げる中、ジョンだけは妻の無実を信じます。
もちろん、ジョンにだって妻が無実である確かな根拠や証拠はありません。あるのは、妻の「私は犯人じゃない、ぶつかった人が犯人だ!!」という言葉だけです。
もちろん、息子ルークのことも大事にしています。
母親が突然捕まり、悲しい思いの中にある息子への気持ちを理解し、ジョンにできる精一杯をルークに与えています。
ただ、ジョンは少し優しすぎです。それが計画を危険に導いてしまいそうです。
落ち着いていて、辛抱強く、博識で、深い愛の持ち主で、優しすぎる、それがこの映画の主人公ジョン・ブレナンです。
2、デイモンを演じるリーアム・ニーソンさんもまた素晴らしい
ジョンがアドバイスを求めるのが脱獄経験者のデイモンです。デイモンを演じるのはリーアム・ニーソンさんです。
リーアム・ニーソンさんと言えば『スター・ウォーズ エピソード1/ファントム・メナス』や『バットマン ビギンズ』などに出演しています。個人的にはクワイ=ガンとラーズ・アル・グールが好きですね。
デイモンの出番は少ないですが、ラッセル・クロウさんとリーアム・ニーソンさんのツーショットが観れるのは贅沢です!!
デイモンのアドバイスは的確です。
脱獄の成功の秘訣? とジョンに聞かれ、「度胸と……少しの運。脱獄できない刑務所はない。鍵を見つけるんだ」と彼は語ります。
それには観察が大事、日常と違う動きは見逃すな。看守は毎日の仕事を惰性でやっている。
だから異変が起きるとミスを犯す、その時を逃さない。
そのためにも実行の前に刑務所の下調べをするべき、と教えます。
更に、本当に難しいのは逃げ続けること、と彼は言います。
どこへ逃げるかや逃亡の手段も大事だが、警察がどのように追ってくるかも考える。
ジョンが狙うピッツバーグの街の刑務所は、脱獄の通報から15分で街が封鎖されてしまう。35分も立つと街から出るのは完全に不可能。こうなると降伏しかない。
街を出るには列車やバスは使ってはいけない。自宅から離れた空港へ直で行く。
それから偽造身分証と5~6年程暮らせるお金が必要。
逃亡先はアメリカ人観光客がいないところを探せ。
しかし、本当に大事なのはやり遂げる度胸があるか、どうかだ。
「二度と親の顔やわが子の顔を見れなくてもいいか? 看守や人のよさそうな年寄りも殺せるか? それができないなら諦めろ、命を落とす前に」と忠告するデイモンの表情は修羅場をくぐってきた目です。
このやり取りのシーンが最高に贅沢です!! ラッセル・クロウさんもリーアム・ニーソンさんもオーラが凄いです。
3、脱獄を成し遂げるのには何が必要かを細かく描写している
デイモンがそれを示してくれたので、ジョンはそれをクリアすることに努めます。偽造身分証を用意したり、高飛びのお金を用意することを徹底します。部屋には地図を張り、そこに細かく計画を書いて進捗を図り、決行の日を待ちます。
ジョンにとっては、綿密な計画やそのための準備は問題になりません。
ただ、デイモンが言っていたように、一番大事な『度胸』と言いますか、『自分達の家族の幸せのためなら……なんでもする』という部分がジョンには難しい課題です。
この映画を観ていると、脱獄に限らず人生で何かを成し遂げるのには、完全な計画や準備も大事ですが、本当に大事なのはどうしてもそれを『成し遂げたい』という思考なのかもしれない、と思わせます。
脱獄に必要なのは、綿密な計画や準備か、それとも脱獄する強い意思か? そういう部分を強調している映画です。
もちろん、両方あればいいんですけどね。
最後に
この映画の半分以上が脱獄の計画を練ることとその準備で構成されています。脱獄のシーンはあっという間で、途中で銃撃戦が始まることもありません。
デイモンが映画『パピヨン』のようにか? と言っていたので、映画『パピヨン』もこのように計画や準備をメインに映画で、リメイク元も影響を受けた作品なのかもしれません。
個人的にラッセル・クロウさんとリーアム・ニーソンさんの競演が最高で、それだけ嬉しい映画です。
更に、優しい性格の持ち主のジョンが、妻のために麻薬業者の家を襲撃して、おそらく人生で初めて人を撃ったところは後には引けない、という覚悟を感じました。
ただ、少し残念な部分が2つありました。
残念なポイントその1。
結局、妻の無実は証明されません。
もちろん、この映画は脱獄がメインで、妻の容疑を晴らすことが目的ではないので必要ないことですが。
しかし、観てる側としては「本当は妻がやったのでは?」と思ってしまいます。
ラストに殺人の様子が描かれ、そこで妻の証言通りだった、とわかるのですが。それならもっと早くに……。
そして、妻の無実がわかるシーンの後、もう一度捜査する刑事はそこにある証拠に気づかず、警察の中でもジョンの家族は逃亡者という形で終わります。
残念なポイントその2。
ジョンはデイモンに言われたように、やはり『自分の家族のためなら……』という部分が徹底できません。
麻薬業者襲撃の時は、大怪我をしてる業者の一人を助けてしまいます。
結果、彼は死んでしまったので問題にはなりませんが……もし生きてたらどうなっていたでしょうか?
更に、脱獄後の逃走のシーン。
状況が変わり子供を迎えに行くのはリスクだ、と気づいたジョンですが、それでも結局迎えに行ってしまいます。
それは家族愛が……と言えますが、これはデイモンが警告した。「二度と親の顔やわが子の顔を見れなくてもいいか? 看守や人のよさそうな年寄りも殺せるか? それができないなら諦めろ、命を落とす前に」を見事に二つ破っているように思えます。
私なら、子供は迎えに行かず逃亡し、一方警察は調査をもう一度し直し、その結果妻の無実が証明され、堂々と子供の元に戻る、と考えましたが……これではなんか警察への憎悪が強くなる結末になりそうですね。
と最後につまらないことを言いましたが、脱獄に本当に必要なのは綿密な計画や準備か、それとも『成し遂げる』強い意志か? ということを考えさせてくれる映画です。
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グリフィン理論
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