2017年10月6日金曜日
お勧め映画 第29回目『7つの贈り物』
個人的お勧め映画。
今回は『7つの贈り物』です。『幸せのちから』のスタッフが製作した作品です。
私は映画と出会う時、20分以内にその映画が自分に合っているか判断できるのですが、今回は20分も必要ありませんでした。
この台詞をCMで聞いて、一発でこれは私に合っていると確信しました。
「神は七日間で世界を創造した。僕は七秒間で……自分の世界を破壊した」 という台詞です。この台詞は映画の序盤にあります。この台詞で、とてもこの映画を観たくなりました。
映画の簡単な内容です。
心臓に病気を持つエミリーの前にベン・トーマスという男性が現れる。
彼は国税庁からエミリーの税務調査の為に来たといい。その後もベンは度々彼女に会いに来た。
ベンは彼女に調査とは関係のない親切な行いをする。
そんなベンに徐々に心を開くエミリーだったが、彼は自分で決めた重い『使命』があり、その時が近づいていた。
という感じの内容です。
個人的お勧めポイント
1、全てに意味がある
2、自分に重過ぎる使命を背負ったベン・トーマス
3、壊れたピアノが奏でるような旋律とラストシーンの鼓動
1、全てに意味がある
冒頭のシーンでは911にベンが「自殺者がいる、自殺者は僕だ」と電話をかけています。
別のシーンでベンは、コールセンターに電話し担当のエズラという男性を罵ります。ただクレームではなく、目が見えない事を理由に酷いことを言いますが、エズラは怒ることなく丁寧に電話を切ります。
そんな酷いことをした後にエミリーが入院している病院へ行きます。そこでは、まるで別人のような振る舞いです。
その後、弟から電話があり「間違って自分(弟)のものを持ち帰らなかった?」と尋ねます。するとベンは「俺がお前にやったんだろう?」と返します。弟もその答えで納得した様子です。
最後にベンが過ごしている部屋にはクラゲがいます。
このクラゲは『ハブクラゲ』といい。猛毒をもったクラゲです。
全く関係のないように思えるこれら全てが、パズルのピースで徐々にパズルの全体図が見えてくる展開になっています。
911への電話、エズラに対する酷い仕打ち、エミリーに対する対応、弟の問いかけ、そして『ハブクラゲ』です。
全くバラバラなピースに見えますが、そのピース達がひとつの物語を作り出します。それがとても素晴らしいです。
なかなか全体図が見えてこないと感じる人もいると思いますが、全てのシーンにはちゃんと意味があり、それが全て繋がります。
ある程度勘がいい人は、早めに全体図が見えるでしょうが、そこから先が大事な部分です。
2、自分に重過ぎる使命を背負ったベン・トーマス
ベンを演じるのはウィル・スミスさんです。
『幸せのちから』や『アイ・アム・レジェンド』、『メン・イン・ブラック』など様々な役を演じられる素晴らしい俳優さんですよね。
今作では様々な面のウィル・スミスさんが観れます。
エズラを罵る時は、本当に観てるこちらも不愉快になるような演技をしていますが、電話を切った後の悲しそうな表情からの激しく怒るベン。
一番多く見る面は、エミリー対する優しいベン。そして、時に見せる辛そうな一面など様々な面を見せてくれます。
なぜ、そこまで様々な面を見せるのか? というと、ベンが自分で背負うと決めた『使命』が彼に様々な面をもたらします。
しかし、その『使命』はとても重過ぎる使命です。そんな『使命』を背負って歩んでいくベンの姿がとても印象に残ります。
そういう生き方もあるな、ということを考えさせられる映画ですね。
更に、エミリーを演じるのはロザリオ・ドーソンさんで、ロザリオさんは『メン・イン・ブラック2』にヒロインとして出演しています。
今回も状況は違いますが、またヒロインとしてウィル・スミスさんと共演してるのが見れていいですね。
3、壊れたピアノが奏でるような旋律とラストシーンの鼓動
映画の中で『THE CRISIS』という曲が流れます。『海の上のピアニスト』という映画のでも使用された曲のようで、途中で不協和音が入っています。
私は不協和音と言うより壊れたピアノが奏でる旋律のように思え、それがベンの『7秒間で壊してしまった自分の世界』の象徴のように感じました。
PVやCMで使われていた要素への拘りの一つがこの『THE CRISIS』だと思います。
ベンが背負った『使命』のことを聞いたエミリーが、ラストでエズラと会うシーン。ここでエミリーの鼓動の音が強調され、エズラは子供達の前でピアノを弾いています。
演奏の後、彼女はエズラの方へ行き「エズラさん?」と尋ねます。まだ会った事ない二人ですが、共通するものを持っています。それはベンからの贈られた『7つ贈り物』を持つ一人、ということです。
この二人が出会うシーンで『THE CRISIS』が流れ、お互いがそれを理解するシーンは素晴らしいです。
最後に
「神は七日間で世界を創造した。僕は七秒間で……自分の世界を破壊した」というベンの台詞をよく表現した作品になっている、と思います。
ベンが背負う『使命』はあまりも重過ぎて、そんな『使命』は背負わなくていい。そんなの自己満足だ!! と訴える人もいるでしょうが、映画と言うのは様々な人の歩みを観れることが素晴らしいんです。
これは人生においてもそうで、様々な歩み方を理解し、認めてあげる寛容性が今求められているのではないだろうか? と感じている日々です。
もし、自分がベンと同じ立場ならどうするか? と考えるとより映画を楽しめるのかもしれません。私なら塞ぎこんでしまうかも。
そこからどう歩むかは人様々で、ベンの歩み方はこの映画で表現されています。
もちろん、上でも言った。「それは自己満足」と思うのが観たい人の歩み方で、それを持つのは素晴らしいのですが、一方でベンの歩みを認めれる寛容さが試される作品なのかもしれません。
テツガク肯定の私としては、ベンの背負った『使命』はベンを一人の個人から開放させ、彼からの『7つの贈り物』としてこれからも生き続ける、と考えることも出来ます。
そう考えれば、結末の印象が変わると思いません?
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