拝啓
歌う不死蝶様、寒さが徐々に旅支度を始め、南から暖かさがやってくる時期になりました。
南へ向かう寒さがこれからどんな旅を始めるのか、気になりますが、暖かさが連れてきた新しい風も気になります。
今回はそんな風のことをこの手紙に記します。
今、私は相方と共に『当たり前』を集めています。あたコレ(当たり前コレクション)という感じです。
朝、コーヒーを飲むように、物語や絵、それらを使った何か、そんなコンテンツという幻を創る。
それが当たり前になるといいな、と思っています。
仕事のようで、趣味のようでもあって、そんな境界線を通り越した当たり前。
そんな存在にできたら、と。
歌う不死蝶さんにとって、歌を歌う、ということはどういうことでしょうか?
やはり、仕事でしょうか? それとも趣味に近い何かでしょうか?
すみません。失礼な質問だと思いますが……。
どうしても気になったんです。
仕事や趣味という境界線を超えた先の当たり前。
自分にとって大切なモノをその当たり前に変えられたら、どれだけ幸せだろうか、と。
そして、勝手にあなたの背中を想ったんです。
もし、ただの仕事であったら、身体を痛めながら歌うのだろうか?
明日、歌うことで命を落としてしまうかもしれない、という状況でも歌うのだろうか?
その背中をプロフェッショナル、と呼ぶのかもしれませんが……私には、かすかに原点の光が見えた気がしました。
少年の日、初めて飛ばした紙飛行機を飛ばす瞬間のような。
仕事であれば、他の選択肢もあったでしょう。
趣味であれば、また違うやり方もあったでしょう。
あなたが選んだ道、その道の先で私達が受け取ったもの。
それは、仕事を背負う人や、趣味の服を着こなす人にはつくれないものでした。
決して、仕事や趣味が悪いとは思っていません。
仕事は大切ですし、私は趣味が大好きです。
たくさん趣味があるので、趣味が仕事に変われば最高だと思います。
ですが、それよりも気になる、暖かい風が運んできたもの。
それが『当たり前』という幻です。
この幻が、私達があなたから受け取ったものに近い気がします。
影のように側にある『当たり前』。
大切なモノをそんな身近な存在にしたい。
人を騙し欺き、人から時間や心を盗み、物語を描きながら人を作家に変える奇術。
そんな三冠王という幻を描く、当たり前の幻。
それを見ることができたら、あなたがステージの上で見た景色と近いものが見える気がしています。
南の世界を旅してきた暖かい風が連れてきた新しいこの風。
私達もこの風に乗って、ロックンロールを当たり前に変える旅を続けます。
歌う不死蝶さんと冒険するフロンティアを探すために。
それでは、また次のお手紙でお会いしましょう。
敬具
歌う不死蝶様と共に未来の夢を見る一人より
敬具
歌う不死蝶様と共に未来の夢を見る一人より
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