2019年11月15日金曜日

届かない手紙 16通目




 拝啓

 歌う不死蝶様、今年も残り一ヶ月と数週間となりました。
 今年の2月には、まだ一ヶ月という余裕がありましたが。
 今はもう一ヶ月と数週間しかない、という焦げた焦りの香りがします。
 2月には確かにあった、あの余裕。
 それが消えてしまった、この霧の事件。

 その景色を相方と共に向き合いました。

 そして、一つの答えに出会いました。
 謎は謎のまま、その方が面白いという答えを。
 だから、このまま。
 まだ余裕があるという気持ちと、もう余裕がないという気持ち。
 その二つと共に歩んでいく。

 為し遂げたい何かが成せた時。
 霧も晴れるだろう、と信じて。

 相方とそういう話をした時、私は今年の目標を思い出しました。
 『どうにもならないこと』に囚われない、という目標。
 振り返ってみれば、今年も囚われっぱなしでした。

 ただ、余計なことに振り回されながらも。
 これ以上シャレている時間はない、ということは忘れませんでした。
 それを忘れなかったこと。それが全てだったと思っています。

 そのお蔭で、新しい宝島のような目標にも出会えました。
 今もそこへ向かって、幽霊船を進めています。
 ただ、よく消えてしまう幽霊船なのですが。

 そんな『彷徨える夢追い人』的な、幽霊船の旅はとても最高です。
 常識外れな航路も通りますし、幽かな風だって捉えます。
 そして、幽かな霊の光だって見えていたり……。

 例えば、自分の心の奥深く。
 見えない幽界にある幽谷で眠る、自分の霊魂の灯とか。
 
 普段はなかなか見れず、一瞬現れても幽霊船のように消えてしまう。
 そんな霊魂が、時々幽かですが見えています。

 この幽霊船の旅で、どんな目的地に辿り着くのか。
 ちょっぴり期待しています。

 今、歌う不死蝶さんはフロンティアで、どんな旅をしているのでしょうか?
 いつか、お互いの航海日誌。
 その一部だけでもいいので、見ることができれば……。
  
 なんとなく、その夢は叶う気がします。
 私は幽霊船の船長ですから。
 雀のジャック船長に憧れる船長です。

 その夢が叶うまで。
 いえ、叶ってからも、どうかお元気で。
 歌う不死蝶さんがフロンティアから届ける。
 あの風と光が私達の道しるべですから。





 それでは、また次のお手紙でお会いしましょう。


 敬具 


 歌う不死蝶様と共に未来の夢を見る一人より







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砂漠でアマゾンを探している

 多くの人は砂漠でオアシスを探している。  平和ってオアシスを信じて、求めて彷徨う。   隣にアマゾンがあっても、砂漠の中で探す。  今、本当に欲しいもの、ITを忘れかけながら。  砂漠のオアシスなのか、豊かな水源があるアマゾンなのか。