2020年6月8日月曜日
帰るための切符
当たり前。
それは、時と場合によっては計り知れない。
そんな力を秘めている、と知った学生時代。
先生が返した、あの答えが今でも忘れられない。
あの時の『帰るための切符』は、まだあるだろうか?
肯定
当たり前。
それは、時と場合によっては計り知れない。
そんな力を秘めている。
ガクちゃん。
今日は僕の昔の秘密。
それを明かすよ。
本当は、既に知っている。
秘密かもしれないけど。
テツガクちゃん
是非、お願いします!
その秘密を明かしていただくまで。
私は、その秘密の姿を知りません。
ですから、今、この瞬間に。
明かしてください。
肯定
それは、学生時代のある日。
遠足のようなイベントの帰り。
駅で同級生が先生に訊ねた。
「先生、(帰りの切符は)何を買えばいいんですか?」
そのような感じの質問。
同級生は、帰り方がわからなかったのだろう。
普段乗らない路線の電車だからさ。
それに対して、先生が返した答え。
それが、今でも忘れられない。
「帰るための切符だよ」
…………。
普段は難しい数式などをわかりやすく説く。
そんな頼りになる先生の答え。
それは、想像を超える真っ直ぐさで。
『トーチソング』に似ている。
それを聞いた僕は大笑い。
暑さに疲れた身体。
その奥の方まで届いた、不可思議さ。
それが、さっきまでの疲れを消してしまった。
まるで、最初からなかったかのように。
その後も、しばらく笑いが止まらず。
一週間ほど、その場面が忘れられない。
もちろん、今も覚えている。
ホント。
とんでもないね、当たり前ってさ。
テツガクちゃん
帰るための切符ですか……。
たしかに、それは笑ってしまいますね!
暑さが表した疲労の中。
助けを求めて、訊ねた先生の答えが。
あまりにも真っ直ぐ過ぎて……。
心地いい、不可思議さですね。
肯定
最高に不可思議だったね。
先生の答えは何も間違っていない。
本来なら笑うこともないのだけど。
何でも答えられそうな先生が返した答え。
それと、同級生が求めていた答え。
そこに、あまりにも大きな隔たりがありながら。
一方で、反論の余地がないほど。
完全で完璧な当たり前に然る、当然な答え。
そんな美しい矛盾に出会ってしまえば。
不思議と笑うしかなかったね。
最高な不可思議さにね。
テツガクちゃん
笑うしかありませんね。
最初に、肯定さんが言ったように。
当たり前。
その力は、時と場合によっては計り知れませんね。
肯定
とんでもないね。
もし、あの時の答え。
それが、先生の計算どおりだったとしたら。
いや、なんとなく。
そんな気もするけど。
やっぱり、とんでもないね。
もし、あの帰るための切符。
今からでも間に合うのなら。
今、それが欲しいと思ったり。
もう一度だけ。
遠くからでもいい。
知らない他人として。
あの光景に出会えたら、なんて……。
そんな切符。
それは、意外にも身近に。
驚くほど確かな場所にありそう。
テツガクちゃん
そうですね。
その秘密の形でしたら。
私も知っています。
ですが、今日、今、この瞬間に聞いた。
遠足から帰るための切符。
その秘密は知りませんでした。
ステキな秘密を明かしていただき。
ありがとうございます!
いつか、二人で。
また、その場面に帰りましょう。
そのための切符でしたら、私も知っていますから。
あなたはどうですか?
様々な駅にある、光景。
帰りたい場所へ、帰るための切符。
それを思い出せましたか?
登録:
コメントの投稿 (Atom)
-
昔、朝日の向こう側。 日出ずる世界のアメリカにトント少年がいた。 懐中時計とかそういうSF的な未来を望む少年が。 そして、本当に彼の前に宇宙人が現れた。 きっと、今にもトント少年はいる。
-
どうやってココに来たのか。 ITを思い出している人は少ない。 だから、この悪夢の中で欺瞞を覚えてしまう。 行動しないと変わらないと思ってしまう。 だけど、何もしなくても繋がった――。
-
二つの精霊を信じていたトントさん。 過去から来たウィンディゴって悪霊。 未来から来たスピリット・ウォーカーって悪霊。 それでトントさんが選び、撃ち抜いたのは――。 鳥は時間を告げない、キモサべ。
0 件のコメント:
コメントを投稿