推理小説とスリは似ている。
人から何かを盗む時。
大掛かりな計画や仕掛けは必要ない。
人の注意力は、複数のことを捉えられないのだから。
『あらわれる』という言葉すら、何なのかわからない。
肯定
推理小説とスリって似ているよね。
何かを盗むところがさ。
テツガクちゃん
たしかに、そうですね!
スリさんが盗むものは様々ですが。
作家さんは時間と気持ちを盗みます。
特に、推理小説は、その傾向が強いカテゴリーですよね。
驚きを盗むことに長けた、世界です。
肯定
そんな推理小説の世界では、スリの手口が参考になるだろうね。
有名なスリ師の言葉。
『人の注意力は、複数のことを捉えられない』
そんな感じの言葉があってね。
これを理解していれば、どんなダンスも踊れるね。
テツガクちゃん
肯定さんなら、そのスリの技術をどう活用するのですか?
とても気になります!
肯定
僕なら、『少年探偵ブラウン』流に使うかな。
人の注意力は、全てを捉え難い。
物語に5つの会話のシーンがあったとして。
その全てを覚えていられる人は稀だよね。
1つどころか、全てを曖昧に流してしまうかも。
だから、5つもあれば、ヒントが見え難くなる。
3つでも難しいかも。
まさか、ちょっとした会話の中に、ヒントがあるなんて……と。
テツガクちゃん
そうかもしれませんね。
霧の都の名探偵さんも言っていました。
『小さなことが何よりも大切』
そんな感じの言葉です。
解決の鍵は、難しい場所ではなくて。
何気ない当たり前、その中にあることが多いですよね!
肯定
そうだね。
だから、スリのように人の注意力を支配すること。
それが、大切だと思ってね。
メモを手にしながら語りかければ、そのメモに注意がいく。
あれを見て、と言えば、そちらの方へ注意がいく。
難しい情報を与えれば、読む側は警戒する。
そんな感じ。
大掛かりな計画や仕掛け。
そういうのも大切だと思うけど。
そういうのがなくても、盗むことはできる。
スリのように。
テツガクちゃん
スリの技術を推理小説で活用すれば。
本当に、どんなダンスも踊れそうですね!
推理小説という舞台。
そこで、作家はスリになりきって。
読者のフォーカスを意識して踊る。
うまく暗闇を作り盗む。
霧を操り盗む。
時には、堂々と盗む。
そんな推理舞踏会の常連になれたら。
どんなダンスでも踊れます。
肯定
踊るとこ敵なしだね!
このダンスは、とても簡単な動きです。
読者に驚いて欲しくて、情報を与えない。
あるいは、知りもしない情報に秘密を隠す。
そんなことをしなくても、驚きは盗めます。
大掛かりな計画や仕掛けも。
特別、必要ではありません。
大掛かりで難題なもの。
それは、読者が気づく面白さを知る。
その前に、終わってしまいます。
僕にとって、推理作家さんのお仕事。
それは、複雑なことを簡単にすることだと思います。
簡単なことを複雑にするのではなくて。
意外と忘れやすく、見失ってしまう。
そんな当たり前を活用する。
そして、その当たり前が『あらわれる』ようにする。
それが、大切だと思います。
ところで、この『あらわれる』はどちらでしょうか?
洗われる? それとも表れる?
これは、ちょっとした事件です。
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