振り返らず、行くんだテツガク

　振り返らず行くんだ。
　留まらないで舞い上がれ。
　最初に踏み出した、その一歩のまま。
　行け、行け。行くんだ、ガクちゃん。
　ギターがなくても、その考えで遊ぼう。
 




テツガクちゃん
　哲学の歩みには。
　様々な誘惑があるのかもしれない。
　
　そんな誘惑の香りに。
　気づいてしまいました！　私！


肯定
　確かな誘惑の香りだね。

　途中で、とても魅力的な知識と出会えば。
　いつか、それを集めることが。
　目的に変わってしまう。

　見事に哲学は。
　知識の虜になり辞書に変わった。

　あるいは、知識と経験を混ぜて。
　高い場所からあり難い教えを説く。
　そんな崇高な存在に変わったり。

　だけど、最初に踏み出した、あの一歩。
　それが辿り着きたかったのは。
　その底だろうか？

　少し不思議が香る底だね。


テツガクちゃん
　そうですね、不思議な底です。
　
　なぜ、あの一歩を踏み出したのか？
　辞書ならば、外へ出なくてもなれました。
　崇高な存在も外へ出なくてもなれました。

　なぜ、一歩踏み出したのか？
　ほんの少し踏み外したのか？
　その時に見えた、あの面白そうな何か。

　いえ、面白さとは違う何かかもしれません。


肯定
　その答えに、また出会いたい。
　もう一度、それに出会うためにも。

　振り返らず、行くんだテツガク。
　留まらないで、舞い上がれテツガク。

　答えなんかなくてもいい。
　意味なんかなくてもいい。
　見えなくてもいい。
　聞こえなくてもいい。

　何もないから感じられる。
　そんな景色だって。
　確かにあるはずだから。
　
　引き返すわけにはいかないよね。
　そこで待っている。
　あれが見張っているのだから。


テツガクちゃん
　そうですね……って、いつの間にか。
　哲学が私になっていませんか！？

　ただ、肯定さんがそう望むのなら。
　やってみます。
　振り返らず、留まらず、共に進みましょう。

　何もない景色の前では。
　全ては無に変わります。

　そんな運命に答えるには。
　無慈悲さを返す慈悲深さ。
　
　何もなくてもいい、と許せる心。
　その心さえあれば。
　いえ、この心こそが。

　あの一歩を踏み出した力だったのかもしれない。
　そんなことを考える。


肯定
　そう、どんどん考えて。
　振り返らず、進むために考える。
　答えや意味を期待せず考え続ける。

　行け、行け。行くんだ、ジョニー。
　行け、行け。行くんだ、ガクちゃん。

　ギターがなくてもいいんだ。
　代わりに、どんなギタリストにも負けない考えで遊ぼう。
　死なず負けない潜った思いの潜思。
　不を思議して、不思議に出会ったり。

　そのための一歩を踏み出す。

　あなたも考えで遊んでみませんか？
　誰もが持っている、そのステキな想像力で。
　ガクちゃんがどこへ向かうのか。
　その物語の次のページを。
　
　そうすれば、きっと彼女に出会い。
　その行き先にも気づいてしまうのでしょう。

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それでは、また次の機会にお会いしましょう。