肯定
作家さんが描いた物語。
その世界を案内できる人がいるとしたら、それは作家さん自身だよね。
『読者を案内する』というのは、作家の大切なお仕事の一つ。
それは、物語の世界の街並みや絶景を案内する、という意味だけではなく。
物語の中を案内する、という感じかな。
例えば。
テツガクちゃんはお肉料理が大好きです。
彼女は、特別な曜日にお気に入りのお店でステーキを食べます。
水曜日は特別な曜日の四日前です。
今日は日曜日です。テツガクちゃんはどこで何を食べますか?
テツガクちゃん
答えは簡単ですね。
水曜日から四日後は日曜日ですから、その特別な曜日は日曜日です。
ですから、日曜日はお気に入りのお店で、ステーキを食べました。
肯定
正解!
ここまで硬く案内しなくてもいいけど、読者にどうしてそうなるのか。
その情報が作品の中にあれば、読者はそれを探してくれるはずです。
作品の中にそのヒントがある、となれば、そのヒントを探し、何かに気づける。そんな面白さと読者は出会えます。
特に、推理ものでは、この案内がとても大切になってくると思います。
例えば。
下の文字から、『HOPE』という"単語"を作ってください。
(H、あ、ス、森)
これはよくない例えだから、出すヒントを自分で考えてみてね。
テツガクちゃん
たぶん、これでは……作れませんね。
わかりました、こんな例えはどうですか?
下の文字から、『HOPE』という"単語"を作ってください。
(エ、希、9、軌、ヨ、棒、0、望、)
これでしたら、『エ09ヨ』や『希望』ができます!
エをずらしてHの形にして、0はOの代わり、9とヨを左右反転させPとEの代わりに。
希望に関しては、"単語"ですからね。英単語とはありませんでしたので。
肯定
さすが、ガクちゃん。
ステキな例えと答えをありがとう。
よく"単語"という抜け道に気づけたね。
その通り、"英単語"とはしてなかったから、もちろん日本語の単語もOK。
それに、当て字だってOK。
こんな感じで、ちゃんと抜け道といいますか。
作者さんが伝えたいことのヒントをちゃんと入れておく。
ヒントは全て入れる必要はありません。
例えば。
下の文字から作られる、四文字の英単語を答えてください。
(H、P、E)
ここにOがありませんが、それは読者も察すると思います。
考えること、探すこと、気づけること、それはとても面白いことです。
それを感じるには作家さんの案内が必要です。
さっきも言いましたが、"特に"、推理ものでは、作家さんの案内力がとても大切だと思います。
ヒントになる情報が全くない。
与えられた情報の中にヒントはなく、後から主人公だけが重要なヒントを知っていた。 そういう展開では、読者は面白くない……少なくとも僕は面白くありません。
読者を名探偵に変える。
推理ものでは主人公より、読者が名探偵になってもらえたら……というのが僕の理想です。
もちろん、自分と読者の真剣勝負を楽しみたい、というのやり方も大切です。
ただ、フェアプレー精神も大切だと思います。
推理ものに限らず、どんな物語でも、知らない世界で自分を導いてくれる。
そんな案内人のお仕事を読者は待っていると思います。
だから、作家さんは物語よりの使者となって、読者さんを物語の世界の隅々まで案内できるように。
序盤の果てから、終盤の果てまでを繋ぐ、展開というステキな風を届けられるように。
これは僕の理想です。
きっと、あなたも自分の理想があるはずです。
それと出会う、きっかけになれば嬉しいです。
もし、出会えたら、迷わずそれを追いかけましょう。
それが一番です。
それでは、また次の機会にお会いしましょう。
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