無敵

　『無敵』という一つの言葉でも。
　その先の景色は様々なようです。
　『無敵』、それは誰にとって『無敵』なのでしょうか？





テツガクちゃん
　肯定さん、『無敵』とは、誰にとって無敵なんですか？


肯定
　無敵艦隊とかの無敵かな？
　それなら、負け知らずな感じだから……。

　ん、でも、よく考えたら。
　これは、誰に対して負け知らずなのかな？

　自分が負け知らずだから『無敵』というのか。
　それとも、負け知らずな他人を見て『無敵』と思うのか。

　そもそも、本当に負け知らずなら。
　『無敵』じゃなくて『不敗』かもしれない。


テツガクちゃん
　私も肯定さんも『無敵』という言葉の前では、『Mr.ジョーンズ』のようですね。

　
肯定
　とか言いながら、本当は何かに気づいているんでしょ？

　今、ガクちゃんは、どんなことに気づいてしまったのかな？
　是非、その景色を見せてくださいな。


テツガクちゃん
　えっ、いえ、そんなことは――。

　あっ、今、気づいてしまいました！　私！
　『無敵』は『唯一無二』と似ていることに。

　負け知らずな『無敵』もありますが、違う『無敵』もあります。　
　それは、敵を作らない『無敵』です。


肯定
　あっ、たしかに、そういう『無敵』もあるかも！　
　
　誰とも関わらなければ、それは敵のいない無敵状態だし。
　誰かと関わっても『無敵』な人っているよね。
　
　敵って好きとか嫌いとは、ちょっと違う気がするから。
　

テツガクちゃん
　そうですね。
　好きや嫌いでは、はかれない敵という重さ。
　
　好きだから敵にならないとは限りません。
　嫌いだから敵になるとも限りません。

　敵は、好きや嫌いからほんの少し離れた友人です。

　だから、好かれたり嫌われたり、様々な人と関わりながらも敵がいない人もいますよね。
　

肯定
　敵がいない人か。
　それもいいね。

　ガクちゃんが無敵になるとしたら、どんな『無敵』になりたい？
　負け知らずの『無敵』？
　それとも敵がいない『無敵』？


テツガクちゃん
　私なら、そうですね……。

　敗北の味も好きですから、それを知れなくなるのは困ります。
　それから、敵がいないと名勝負がなくなってしまうので、それも困りますね。

　もし、そんな私が『無敵』になれるとしたら……。
　誰の敵にもならない、『無敵』な人ですかね。
　
　負け知らずで、敵をつくらない人ではなくて。
　自分に敵がいても、自分は誰の敵にもならない。
　そんな『無敵』に憧れます。
　できることなら、そういう『無敵』がいいですね。

　あなたは、どんな『無敵』になりたいですか？

　無敵という言葉。
　その形は一つでも、その先の景色も一つとは限りません。
 
　そんな『唯一無二』の小さな事件。
　それを解決する、あなたのステキな解釈の風。

　その風が一番身近な『無敵』なのかもしれませんね。
　今、この気持ちの景色、見えましたか？

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それでは、また次の機会にお会いしましょう。