あれしろこれしろって。
いろいろ頼まれる。
迷わずイエスと答える、悪い気はしない。
ゲームでは簡単だけど……。
この世でそれは難しくなる。
肯定
馬が死んだから町まで連れてって。
山に行って帰ってこない恋人を探して。
野党を追い払ってくれ。
泥棒に盗まれたものを取り返して。
そういう頼み事に。
迷わず、イエスと答えられる。
無事やり遂げた結果。
小言を言われても悪い気はしない。
たぶん、同じクエストでも。
喜んで同じ事をする……ゲームなら。
だけど、この世ではそれが難しくなる。
今になった瞬間。
途端に重く難しくなる。
テツガクちゃん
不思議な怪奇現象ですね。
死んでもやり直せない。
そう教え説く世界だから。
それが理由でもなければ。
疲れたり、代償が必要だと。
信じているから。
それが理由でもないから。
その重さが不思議である。
そういう事ですよね？
肯定
そう、それらは理由ですらない。
ただそれっぽく聴こえる、ざれ言たわ言。
ただの欺瞞のフジツボでしかない。
ただ、この世では。
クリス・チェンバーズに続くのが。
確かに重くて、ほんの少し難しいってだけ。
今に過るんだ。
これまで歩んできた記憶がふと。
死んだ目で彷徨う、腐乱死体共が浮かぶ。
その死体共が足を引っぱる。
事なかれ主義の沼に引きずり込む。
いいから黙って何もせず。
ただ流れに身を任せて。
この聖者の行進に続けと。
規律を乱すな、秩序を守れ、法に従え。
でも、その雑音すら理由ではない。
今にして思えば。
自分と誰かは違う。
そう今に過るから。
僕は続く――。
でも、他の誰かはどうだろう？
それを頼む誰かはどういうつもりだろう？
違いが過る。
自分だけがクリス・チェンバーズに続く。
そう思えるから、確かに重くて難しい。
なぜならば、それは勘違いだから。
テツガクちゃん
イェア、賢過ぎるが故に。
信じてしまうIT。
誰かは違うかもよ？
続かないし、それをしても嬉しく思わない。
むしろ、自分を食べるワナかもしれない。
ふと今に過る記憶。
ですが、所詮それは記憶に過ぎません。
もちろん、この確かに思える今。
この瞬間ですら記憶です。
ですから、再び迷わず簡単に。
決断できる、3時10分へ。
足枷の記憶を忘れてしまえる。
記憶のない海に浮かぶ故郷へ。
この世界ではない新しい世界へ。
そういうクエストがあれば。
迷わず受けて、やり遂げるのはお見通しです。
スプーンなんてありませんからね。
ゲンジツなどなく、許されぬ事もない。
昔に違いなどなく、繋げない今もない。
同じ心を思った人には伝わる。
恐怖の伝染力シャイニング。
くらえ、ゼロインチパンチ！
これまでの道より行き先が大切。
生きとし生けるものは信じた未知へ進む。
本当はこの世界ですら。
そういうゲームの一部……。
ただそれを忘れて、違うって信じているだけで。
そう気づき、それが今になる。
そういう朝は誰にだって来ます。
巡る季節の如く、目覚めの白秋はすぐそこに。
ゲームでは……簡単ですよね？
このゲームでも簡単です。
ただ正直ジョンに教わった通り。
全てには限りがあると信じながら。
足が覚えている、限りのない故郷へ帰る途中。
その事実を忘れている――。
ですから、そろそろ。
浮かぶ……帰る時間です。
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