集中させた気持ちの速度

　もし、私たちに。
　東西南北へ、同時に5キロずつ進める力があって。
　その力を東に進むことだけに集中できたら。
　きっと、その速度は穏やかで。
　だけど、驚くほど遠くへ行けるのでしょう。

 

テツガクちゃん

　気づいてしまいました！　私！

　集中した気持ちの速度は。
　緩やかで、驚くほど遠くへ行けることに。

肯定

　たしかに、何かに集中した方が。
　遠くへ行けそうだね。

　でも、緩やかな速度ってどんな感じ？

　やっぱり、穏やかな感じかな？

テツガクちゃん

　そんな感じですね！

　最近、肯定さんも。
　1年の速度が、昔より速く感じませんか？

肯定

　速く感じるね。

　それを緩やかに戻せるのかな？

テツガクちゃん

　きっと、緩やかにできると思います。

　なぜなら、時空の中を進む私達の速度は。
　自分で調整できるからです。

　幼い時、時間が緩やかに感じた。

　きっと、それは。
　何事も集中して、必死だったからだと思います。

　知らないことも多く、毎日が発見の連続。
　ですが、その発見の日々から。
　ほんの少し離れていく。

　そうすると慣れが生まれ。
　少しずつ、集中せずとも日々を過ごせるようになります。

　あれもしたい、これもしたい、もっとしたい、と。

　様々なことに、気持ちを分散させながらも進めます。

　そうですね、『ながら作業』という現象です。

　肯定さんも『ながら作業』は。
　あっという間に感じませんか？

肯定

　そういえば、そう感じるかも。

　テレビやラジオを聴きながら何かをする。

　そうすると、同じ一時間でもあっという間だよ。

　そういえば、一つのことだけに集中している時って。
　意外と永く感じるかも……。

　つまり、そういうこと？

テツガクちゃん

　そういうことです！

　もし、私達に。
　一日に東西南北へ、同時に5キロずつ進める力があるとしたら。
　その力を東にだけ集中すれば。
　5キロという距離は、あっという間に越えてしまいます。

　ですが、まだ半日も経っていません。
　そのまま進めば、驚くほど遠くへも行けるのでしょう。

　これが、時間を緩やかに感じながら。
　驚くほど遠くへ行ける。

　集中させた気持ちの速度です。

　

肯定

　なるほどね！

　それは、便利な速度だね。

　緩やかで、遠くへ行ける。

　そんな速度に会いたくなったら。
　気持ちを集中させればいいんだね。

テツガクちゃん

　きっと、そうです。
　緩やかで穏やかな時間に出会いたいのであれば。

　幼い時のように、集中できる何かを探しましょう。

　自分が『Mr.ジョーンズ』に変わってしまうような何かです。

　気持ちを何かに集中させた、その速度。

　それは、光速も超えた、『気持ちの速度』です。

　止まっているように感じながら。
　驚くほどの距離を進む。

　あなたは、集中させた『気持ちの速度』で。
　どの今を駆け抜けますか？

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それでは、また次の機会にお会いしましょう。