違う方向の景色を見ながら

　同じ方向の同じ景色を見ることが。
　同じ幻を見ることとは限らず。
　朝から夜を見ている人、夜から朝を見ている人。
　この二人が違う幻を見ているとは限らない。
　幻はどこからでも、見れるから幻だから。

 


テツガクちゃん
　気づいてしまいました！　私！
　違う方向の違う景色を見ていても。
　同じ幻を見れることに！


肯定
　そうなの？

　朝から夜を見る人と夜から朝を見る人では。
　見える幻が違う気がするよ？


テツガクちゃん
　一見、違う幻のように見えます。
　夜に見える景色と朝に見える景色は。
　たしかに違いますから。

　ですが、同じ景色を見ているはずです！
　
　例えば、肯定さんが東の景色を見て。
　私が西の景色を見ている時。
　本当に、私達は違う景色を見ているでしょうか？


肯定
　んー……。

　あっ、その答えは『存在と同時に存在しない』だね。
　たしかに、違う景色に見える。
　
　東京から西にある名古屋を見る。
　大阪から東にある名古屋を見る。

　二人とも別の方角の景色を見ているけど。
　同じ名古屋という幻を見ている。
　東西南北どこから見ても名古屋は名古屋、そんな幻。


テツガクちゃん
　それです！
　みんなが同じ東という方角を見ることが。
　同じ幻を共に見る、共感とは限りません。
　
　見ている方角や景色が様々でも。
　同じ幻を見ることはできます。

　スポーツ選手、文化人、料理人、表現者、自由人。
　様々な夢、その景色はきっと違いますが。
　同じ夢という幻を見れる。

　そう、思い出せたら。
　同じ方向や方角を見ること。
　それは、囚われるほど重要ではない、と。
　気づいてしまうのでしょう。

　幻はどこからでも。
　見れるから幻で。
　
　丸い惑星の上にある、定めの下では。
　東西南北の果てが。
　どこかで繋がってしまう。
　そんな運命が自由と共にあり。
　
　抗っても辿り着いてしまうのなら。
　自分が気になる方角へ進みましょう。
　あなたは、何を見たくて、どこへ行きたいですか？

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それでは、また次の機会にお会いしましょう。