人はよくも悪くも染まっていく。
クラスに放り込まれたら。
徐々に確実に同級生達の色に染まっていく。
それを思い出した瞬間から。
一つ、また一つと鍍金塗装が剥れていった。
肯定
人はよくも悪くも染まっていく。
クラスに放り込まれたら。
徐々に確実に同級生達の色に染まっていく。
そんなことを。
思い出させてくれた、少年時代。
けっきょく、僕は。
ココに戻ってきた。
染まりきれなかった僕は。
一つ、また一つと。
今、この瞬間が重なる度に。
鍍金が剥れるように。
戻ってしまった、この色。
テツガクちゃん
いったい、それはどんな色なのでしょうか?
肯定さんを染めた、同級生達の色。
そして、戻ってしまった、その色は?
肯定
そうだな……。
僕を染めた、同級生達の色は。
きっと、眩しいゴールドだろうね。
遠い昔にあった、始まりの少年時代。
同級生達は、お笑い、歌番組、ドラマ。
それらの話題で盛り上がるから。
それまで見ていた、アニメを辞めて。
それを知ろうと、背伸びした。
誰かを見下して笑うのが流行れば。
それも真似してみる。
そんな感じが。
キンキラキン、禁忌の金色。
テツガクちゃん
ゴールドラッシュに沸く。
西部の楽園に生きる、ちょい悪ギャング。
そんなアウトローですね。
何かいい獲物と収穫はありましたか?
肯定
獲物か……。
もし、それがあるとしたら。
ちょっとした黒酔夢かな。
時代の流れに乗って。
最新型の鍍金塗装。
誰よりも輝くために。
情け容赦なく、蹴落とせる僕は。
ギャングスター。
だけど、それは。
まだ早過ぎた、黒い酔いの夢。
そう気づかせてくれた収穫が。
あの本物のスーパースターの輝きに。
テツガクちゃん
あの本物のスーパースター?
あっ、4000本安打に、25年連続が今も続く。
伝説のスーパースターですね。
肯定
そのとおり。
鍍金塗装の僕は、ドラマを真に受けて。
スーパースターは嫌なやつで。
カウンター席じゃなくて、個室に隠れているって。
ずっと、信じていた。
格下と同じ時空にいたくない。
私は、偉く大きなスーパースターだから。
何事も特別扱いの偉大な上級国民。
だけど、それは。
違ったみたい。
そう気づいてしまった瞬間。
分厚く思えた、鍍金塗装が。
薄い薄い氷の見栄と共に。
一枚ずつ剥がれ落ちていく。
そして、戻ってきた、ココの色は。
果てしない中間色。
始まりの少年時代。
ちょっとした背伸びが。
僕に与えた、獲物と収穫。
キンキラキンには程遠く。
曖昧に霞んで、儚く幽かな境界もない。
どこまでも広がる、ワガママな色。
きっと、今の僕には。
この色こそが、ホンモノの白昼夢で。
西部の街を染めた、繁栄のゴールドラッシュは。
慣れない得物の黒酔夢。
もう少しで、この色ともお別れだ。
一つ、また一つ、綺麗に剥れて。
思い出に変わっていく。
今、この秘密を知ってしまった、あなたは。
何色の英雄だろうか?
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