お前よりは……。
その言い草は誰に向かって言うのか。
それが重要な草。
下に投げれば、自分の小ささが証明され。
上に投げれば、自分が忘れていた何かが見つかる。
テツガクちゃん
お前よりは……。
その言い草は。
野に咲く草のように。
ありふれた、言い草です。
ですが、この言い草。
その扱いは、なかなか難しいです。
そんな確かな重さの難しさに。
気づいてしまいました! 私!
肯定
溢れているものほど。
その扱いは難しいもので。
この言い草も扱いが難しい。
そういう草なのかもしれないね。
だけど、今の僕は。
その確かな重さを見失っているみたい。
だから、もう一度。
その重さを僕の手の上に描いてくれない?
ガクちゃんのステーキな奇術で。
テツガクちゃん
よき相方の頼みとあれば、やってみます!
肯定さんが私と同業者ではなくなってしまうのは。
もの凄く寂しいですから。
自分より何かが下だと思う相手。
その方に向かって、お前よりは……と言ってしまえば。
それは、下と比べなければ、自分を証明できない。
その事実を物語ります。
せっかくなら。
自分よりも遥か上の人に言ってみたい草です。
遥か遠く高い天上にいる誰かに向かって。
お前よりは、と。
肯定
たしかにね。
下だと勝手に思っている人に向かって草を言えば。
その大地がなければ。
証明されない草だと証明してしまう。
それならば、天にある何か。
そこに向かって、語ってみたい草だね。
もし、ガクちゃんなら。
どんな草を語るの?
テツガクちゃん
そうですね、私なら……。
私はあなたより賢くない愚か者です。
そんな愚か者ですから。
あなたよりも愚かさを楽しんでいます。
そんな感じでしょうか。
肯定
最高だね。
扱い難い草をステキに操っているね。
さすが、僕の最高の相方。
ステーキな奇術師だよ。
お前よりは……。
下に投げれば、自分の小ささが証明され。
上に投げれば、自分が忘れていた何か。
それが見つかるかもしれない。
さらに、それを投げなければ。
あるいは、別のどこかへ投げたとしたら。
また別の何かに出逢えるのかもしれない。
あなたなら、その草を誰に投げますか?
お前よりは、と。
誰に言うのか、それが重要です。
0 件のコメント:
コメントを投稿