2021年1月24日日曜日

人は勝手に天をつくる


 天は人の上に人をつくらず。
 人の下に人をつくらず。
 平等だったけど、学問がその先で天地をわけるって。
 とんだ嘘を吐いた、あの詐欺師は分類病。
 いつだって、人は勝手に天をつくる。




 
肯定
 ガクちゃん、こんな言葉を知っているかな?

 『天は人の上に人をつくらず、人の下に人をつくらず』。
 そんな詐欺師の嘘を。
 

テツガクちゃん
 初めて聞きました。
 この言葉は、嘘なんですか?


肯定
 とんでもない大嘘だよ。
 だって、彼はこう続けるんだよ。
 
 人は、生まれた時には同じでも。
 学問がその先で違いをつくっていく。
 だから、学問という船を進めろ、と。

 詐欺師が語る、その船。
 それはもう底が抜けて。
 未完成の海からも出られやしない。
 座礁中の沈没船だよ。

 その沈没船の乗員が。
 天と地という幻をつくるんだよ。
 

テツガクちゃん
 なるほど……。
 つまり、人が勝手に天と地をつくってしまう。
 
 そのきっかけが。
 『学問』ということですか?

 たしかに、最初はありはしなかった違い。
 その違いをつくるのが、『学問』というのなら……。

 その船が、原点なのかもしれませんね。


肯定
 さすが、ガクちゃん。
 そう、原点という元凶だよ。

 人が勝手に天と地をつくり。
 沈没船の中で、人を天と地にわける。

 平等さを謳う詐欺師こそが。
 分類病の患者なのさ。

 視点によって変わり。
 時代によって変わる。
 永遠に完結もしないし、来年には嘘になる。

 そんな業を覚えるよりもさ。

 自分が愛したいもの。
 それを探そうとする気持ちを覚える。
 その方が、人生の旅の助けになりそうじゃない?   
 
  
テツガクちゃん
 そうですね。
 自分だけの案山子を探す。
 その感覚を覚えたら。
 旅の助けになりそうですね。

 ところで、肯定さん。
 学問に酷いことをされたのですか?
 

肯定
 す、鋭いね。
 まあ、それなりにね。

 学問との仲はよくなかったし。
 きっと、これからもよくないよ。

 沈没船の船長がつくる。
 学歴、文化、技術、物語。
 その中で、別の新しい嘘の幻を説いていく。
 名も知らない誰か。

 だけど、それらは。
 最初はなかった、幻想。
 自然界から見れば。
 幻想の中で偉そうに現実を語る。
 その姿は、ドン・キホーテを笑う鏡かもしれない。

 と、同じ詐欺師の僕が語ってもね。
 それは、わかっているけど。
 語らずにはいられない。
 この気持ちが、わからない。 
 

テツガクちゃん
 その答えは、私にもわかりませんが。
 それが最高に面白い、ということは。
 わかっています。

 『Mr.ジョーンズ』になれる、今。
 それは、いつもステーキですよね。

 学問の船を勧め薦め奨め進める船長もステキです。
 そこには、偉い意志があります。

 勝手に天と地を作る人もステキです。
 そこには、大きな想像力があります。

 偉い意志と大きな想像力があれば。
 その偉大な心で、天と地を分けるのではなく。
 『唯一無二』の景色を描けそうですよね。

 世界で一番、唯一のロックスター。
 だけど、その姿は人それぞれ違う。
 無二のロックスター。

 同じだけど、一つとは限らない。
 ナンバーワンだけど、どん底。
 そういう、『存在と同時に存在しない』光を認められる。
 そんな偉大な心があれば。

 きっと、あなたにもありますよね?
 偉い意志と大きな想像力。
 その二つを生む、偉大な心。

 その心で、永遠の未完成を許せたら。
 案山子や幽霊船とも出会えるはずです。
 その果てには、違いのない景色が待っています。




それでは、また次の機会にお会いしましょう。











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無関心は希望

 好きの反対は無関心。  そんなたわ言、誰が言ったのか知らないが。   今の私からすれば無関心は希望。  今まで気づけなかった、その未知は。  愛しの故郷、待ちきれない今は夢の今。