ずっと甘い

　成功した味を奥深い味と称して。
　失敗の味を甘い考えと称する。
　たった、それだけで。
　偉く大きく、立派を気取れるほど。
　甘く甘～い立場もないだろう。
　




テツガクちゃん
　甘い考えでは、上手くいかない。
　そんな言葉は、焦げた嘘が香ります。
　
　それに気づいてしまった、私が。
　今、ココにいて。
　私にとり憑いた疑問符が訊ねます。
　
　もし、甘い考えで成功したら。
　それは、甘くないのだろうか？


肯定
　きっと、違うのだろうね。

　甘いか苦いかではなく。
　ただ、成功したものを成功の味と呼んで。
　成功しなかったものを甘いと呼んでいる。

　甘いか、甘くないか。
　それは、重要ではないのに。
　さも、それが重要かのように語る詐欺師。

　いやー、ホント。
　詐欺師によって支えられ、廻っている世界だね。


テツガクちゃん
　同業者が多いと困ってしまいますね。
　
　成功すれば、どんなに甘い甘～い考えも。
　成功のほろ苦い味に変わる。

　そんな、いい加減な詐欺師が好む味。
　それこそが、甘く甘～いコーヒーです！


肯定
　そうだろうね。

　誰かを見て、甘いか甘くないか。
　それだけで、何かをはかろうとするなんて。
　そんな浅はかさほど、甘い味もないだろう。

　成功の味も。
　甘いか、甘くないか。
　それで、はかれる味ではない。

　勝ったから成功とも限らない。
　負けたから失敗とも限らない。
　
　成功と失敗は。
　メビウスの輪のようだから。
　つなぎ目の特異点に気づけた、その瞬間に。
　その景色は変わってしまう。

　僕らが立っている、今、この瞬間は。
　薄く薄い氷の上。
　その下には、愉快な鮫が泳いでいて。
　いつ、底へ落ちても不思議じゃない。
　
　その事実を忘れず。
　脅えて慎重に歩くだけが。
　甘くない、奥深い味とは限らない。
　

テツガクちゃん
　限りませんね。

　もし、透けて見えた裏側に気づけたら。
　表と裏を分けていたように見えた、あの境界も。
　過未のように、薄く薄い幻に変わってしまいます！

　甘いか、甘くないか。　
　それよりも、何かを知ろうとする。
　その素人な『Mr.ジョーンズ』のような姿勢が大切だと。
　詐欺師の私達は思います。

　そんな私達が好むのは。
　苦さの中にある甘さ。
　それは、幽かですが、確かにある甘さです。

　ずっと、変わらずに甘いまま。
　永遠に甘いに何かと共に。
　そんな詐欺師の味です。

　あなたは、どんな味を好みますか？


　　　

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それでは、また次の機会にお会いしましょう。