2021年1月26日火曜日

詐欺師の諭吉様


 詐欺師の諭吉様が
すゝめた学問は。
 定員超過で、乗客を上下に分類しながら。
 船長と共に沈んだ、今は見えない幽霊船。
 もう、立派な門も重い業もいらないんだ。
 ガクガクできる、ガクさえあれば。

 
 
 


肯定
 詐欺師の諭吉様。
 あなた様がすゝめた、学問なんて泥船。
 それは、氷山にぶつかるよりも遥か前。
 定員超過で沈没寸前だよ。

 海底に沈む船内に残された人。
 天に傾いた甲板にしがみつく人。

 見事に学問が天と地を作って。
 天上人と地下人に分類したよ。

 さぞかし、気分がいいことでしょう。


テツガクちゃん
 最高な気分でしょう。
 自分と共に心中してくれる。
 そういう人が、たくさんいるのですから。

 まさか、自分だけ。
 船を棄てて、逃げ出したりなんて……。
 するはずがありません!
 船長は船と共に沈むものです。

 ということは……。


肯定
 詐欺師の諭吉様がいない、この世界。
 そこでは、学問なんて船は。
 何の役にも立たない、ということだね。

 船長と共にあの泥船は消えたよ。
 もう、見えない幽霊船だよ。

 幽かな霊魂。
 それを感じる人だけに見えて。
 それが、わからない人には見えない。
 
 そんな幽霊船さ。


テツガクちゃん
 ステキな幽霊船ですね。

 肯定さんには、その船が見えますか?


肯定
 影も残像も見えないよ。
 僕には、最初からありはしなかった。
 そんな門構えのお化け屋敷さ。

 学は楽で、ガクガクでこそ。
 ガクちゃん、そうでしょ?
 
 変な門とか業とか習とか歴とか。
 そういう余計なものはいらないよ。

 詐欺師の諭吉様が、棄てた船のように。
 棄ててしまえばいい。

 残った、ガクだけあればさ。


テツガクちゃん
 私にはその答えがわかりませんが。
 何事もテキトウが一番と聞きます。

 適した当たり前に然れば。
 当然も適した形に変わる。
 そういうことなのかもしれません。

 学が楽に変わって。
 愕の額に出会うこともあり。
 鰐の顎を知ることもある。

 様々なガクをかき混ぜ。
 何かに囚われず、程よくガクガクできる。
 それが、できれば。
 他の何かは、いらないのかもしれません。

 諭吉様が沈んだ海に。
 返してあげましょう。
 

肯定
 返してあげましょう。
 
 立派な門や重い業、多過ぎる習に重ね過ぎた歴。
 すゝめられた、折りたたみ式のそれらは。
 折りたたんで棄ててしまいましょう。

 今こそ。
 すゝめを棄てて。
 ガクだけを探しに行く。

 教科書の空白を埋めるのは。
 詐欺師の諭吉様ではなく。
 あなたですから。

 沈んでいく船の甲板にしがみつく。
 その必要性も海の底です。

 ガクガクになるくらい。
 ガクに『DIVE IN!』です。

 雨上がりの夕陽にあった。
 メロン色の若い空にのびていく。
 『ファズトーン』のように。




それでは、また次の機会にお会いしましょう。















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無関心は希望

 好きの反対は無関心。  そんなたわ言、誰が言ったのか知らないが。   今の私からすれば無関心は希望。  今まで気づけなかった、その未知は。  愛しの故郷、待ちきれない今は夢の今。