2022年1月12日水曜日

正直者は馬鹿を見た


 正直者は馬鹿を見る。
 それは、本当だった。
 僕は、確かに馬鹿を見た。
 とんでもなく速い、馬鹿を。
 なんなんだ、あの馬鹿にキレた速度は。





肯定
 正直者は馬鹿を見る。
 それは、本当だった。

 僕は、確かに馬鹿を見た。
 とんでもなく速い、馬鹿を。
 全く追い越せそうにない。

 これまで。
 いろんな谷を越してきた。
 そんな地元でも。

 抜き去れないほどに。
 馬鹿にキレた、走り。
 12月のサンタクロースのそりよりも速い。

 アメリカ娘みたいな恰好で。
 ユーロビートみたいな滑り方で。
 今、この瞬間に残光残像を描いてく。
 ヤマトの最速神話。

 なんてワガママな速度だ。
 マジに夢中へ。
 全速全開で突っ込む。
 好奇心ドリフト。

 WAGAMAMA、四つ揃ったAは――。


テツガクちゃん
 人生の下り。
 最速の不戦神話のAです!

 驚きましたよ……。
 まさか、私のワガママに。
 ここまでついてこれる。

 そんな誰かが。
 この世界にいるなんて……。

 意外と世界は狭いんですね。


肯定
 狭いね。
 息と高鳴る何か。
 それらが、つまりそうなほどに。

 だけど、人生はいつだって。
 退屈でつまんない。
 不思議な関係だね。

 でも、それも詮無きこと。

 普通にまとも。
 一般的に常識的。
 そんな流行の色に。
 染まりきれない、愚か者は。

 外側だから。
 退屈でつまんない。
 そして、馬鹿を見る。

 内側にいたら気づけない。
 アンダーステアの向こう側。
 マジで馬鹿げた、速度に。
 気づいてしまう。


テツガクちゃん
 気づかれてしまいました! 私!

 いつかは。
 飽きられて忘れられて離れていく。
 きっと、賢いから。
 そう思っていましたが。

 私に振り回されながら。
 貼りついているのは。
 とんでもなく、素直な正直者。

 引き離すどころか。
 かなり近づいてくる。
 我がままな速度。
 
 ですから……。
 もっと、もっと。
 振り回したくなる。
 素直な我がままに正直に。

 馬鹿みたいに。
 マジになれる。
 あっという間の最速神話。

 もう、他の誰かなんて知りません。
 今、この瞬間にあるのは。
 貫かれた、馬鹿みたいに真っすぐな。
 我がままだけです。

 あなたは……。
 偶然、私達の速度の残像に。
 気づいてしまった賢者でしょうか?
 それとも、追いついてきた愚者でしょうか?

 
もう、そんなことは。
 どうでもいいことですね。
 次のヘアピンでは。
 鏡から消えていますから。




それでは、また次の機会にお会いしましょう。











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無関心は希望

 好きの反対は無関心。  そんなたわ言、誰が言ったのか知らないが。   今の私からすれば無関心は希望。  今まで気づけなかった、その未知は。  愛しの故郷、待ちきれない今は夢の今。