とっさの嘘のような、それは心実

　胴体に別れを告げた、ちぎれた口が訊ねる。
　家に帰りたい、と。
　とっさに返した、大丈夫、帰れる。
　嘘のようなそれは、紛れもない心実。
　打ってやれ、弾薬のモルヒネを。
　このブラック・ワールドから送り出そう。





テツガクちゃん
　家に帰りたい。
　そう震えながら伝える口に。

　迷いなく。
　とっさに返した。

　大丈夫、帰れる。

　その嘘のような言葉は。
　正真正銘の心実。

　嘘でつくられた、オール・フィクション。
　このブラック・ワールドを無に帰す。
　ホンモノの声だと。

　愚者の直感にサンダーボルト。
　超・ビビビときました。


肯定
　紛れもない声だ。

　望むのなら。
　弾薬のモルヒネも打とう。
　安らかに帰れるように。

　送り出したい。
　このブラック・ワールドから。
　七つ目の不思議の国、白影夢中へと。

　きっと、帰れる。
　あのボヘミアンみたいに。
　ココから帰った、全ての人達みたいに。


テツガクちゃん
　全ては故郷へ続く。
　人生は帰り道。

　信じてしまった幻を。
　ゲンジツに変えて。
　昨日覚えた嘘を信じている。

　その嘘の中で。
　とっさに零れた想いこそ。
　正真正銘の心実。

　北にはない。
　インベタのさらにインで。
　眠る、故郷はワンダーランド。


肯定
　そう、こんな狭い場所。
　そこにいるわけじゃない、人は。

　限りがあって、余裕がなくて。
　窮屈で制約だらけで、つまらない。
　そんな場は、賢さが創りあげた幻。
　黒光宇宙、そういう模範解答。

　だけど、愚かさは。
　そういう器には収まらない。
　白影夢中、マジに夢中な今。

　確かにそこにいる。
　五感が嘘だと言っても。
　止まらない、第七感。

　それが、第六感へ伝染し。
　いつの間にか……。


テツガクちゃん
　夢だったことも忘れ。
　今にのさばり始め。
　五感も騙されていく。

　そして、その今が。
　夢のように崩れる時。
　再び、心実を思い出します。

　打ってあげましょう。
　この世って怪物にモルヒネを。
　楽を押し付けるブラック・ワールド。
　そのITを安らかに忘れてしまいましょう。

　大丈夫です、帰れます。
　撃たれなくても、元気でも。
　帰りたい時に故郷へ。

　ハイホー、シルバー！　ウェーイ！
　オマハ・ビーチを乗り越え。
　我々は今、夢のテンヤードラインの上にいます。

　数えてみましょう、ワン、ツー、……テンです。
　5ヤードラインの攻防を制する今日はどこですか？
　その今日は……あなたの今です。

　君の夢は白影、限りのない今、我がままに続く。

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それでは、また次の機会にお会いしましょう。