2025年4月29日火曜日

毎日が奇跡だから信じられない


 毎日が奇跡なのよ。
 それに鍵穴を探す少年は答えた、奇跡なんか信じない、と。
 鍵が合う鍵穴を見つけられたら、それは奇跡でしょ?
 その答えに少年は黙るしかなかった。
 毎日が奇跡だから気づけなかっただけで。





テツガクちゃん
 毎日が奇跡だなんて。
 辞書を見ただけど。
 ちょっと不思議かもしれません。

 常識では考えては起こりえない。
 そういう不思議な出来事に現象。

 毎日は起きないから奇跡。
 そう思えて、こう信じ始めます。
 奇跡が毎日起きたら奇跡じゃない。


肯定
 そうやって、欺瞞を覚えてしまう。
 もの凄く退屈な欺瞞を。
 僕もそう覚えていたかも。

 だけど、オスカー・シェル氏を観て。
 やっと、思い出した。

 既に奇跡の中にいる事。
 あの映画に出逢えたのも奇跡。
 僕が第七区に気づいたのも奇跡。
 あの夢を見たのも奇跡。

 何より――。


テツガクちゃん
 本当は吸血鬼なのに。
 それを忘れるように人に擬態している。
 記憶の海に墜ちた事を忘れかけて。
 これも奇跡。

 ですが、未来から座礁した。
 ITらに気づき始めたのも奇跡。


肯定
 小さな巨人の気持ちがわかる気がする。

 毎日が奇跡なのよ。
 そう言われて、奇跡なんか信じない、と返したけど。

 鍵が合う鍵穴を見つけられたら、それは奇跡でしょ?

 その時、彼は気づいたんだ。
 自分が探し求めていたのが奇跡だと。
 ただ、毎日が奇跡だから。
 それに気づけず、認められなかっただけで。

 でも、彼はその奇跡を掴んだ。
 ちゃんと第六区を見つけた。


テツガクちゃん
 永い8分間の時差で。

 毎日が奇跡なんです。
 ですから、時々、奇跡を疑い始め。
 信じられなくなる。

 ですが、それすら奇跡。

 毎日が奇跡だなんて矛盾語法の中にいる。
 そう認めて許せたら。
 もっと、凄い事も許せる。

 奇跡の中にいるんですよ?
 当然、不可能なんてあるはずもなく。
 境界線などあるはずもありません。

 鍵を見つけ、鍵穴を探す。
 小さな巨人、オスカー・シェル氏にできて。
 あなたに奇跡を扱えない――だなんて。
 そんな不自然、私は信じません。

 奇跡は当然なんです。
 偶然に思える必然、影送りで夢返し。

 ですから、この今が昔になるって事すら。
 忘れてしまう。
 それが悲劇だと思えてしまう。

 違います。
 これは希望です。
 どんな今も昔になるという事は。
 どんな昔も今になる。

 そういう夢の中にいる。
 きっと、認め難く許し難いでしょうが。
 何れ、それを許せる日が――。

 毎日が奇跡だから、そういう日が来ます。
 一緒に全てが報われる日の朝へ。




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それでは、また次の機会にお会いしましょう。













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