彼は気づいた。
拳銃自殺をしようとした11歳の少年の秘密に。
その街で起こり始めた異変に。
ところが――彼女は悪魔と契約してしまった。
だから、事なかれ至上主義を決め込もうとした。
邪神天照の事なかれ至上主義を。
テツガクちゃん
アラン・パングボーン保安官は気づいた。
11歳の少年、ブライアン・ラスク。
彼が抱えていたITに。
11歳で拳銃自殺をしようとした。
少年の秘密の重さに。
穏やかに思えた。
街で起こり始めた異変に。
ところが――。
肯定
ポリー・チャルマーズ。
彼女は言い放った。
ブライアンは自分で撃ってる
……そんな事、誰も問題にしていない。
それが自分でしたか、どうかじゃなくて。
なぜ、それをしたか?
何歳だろうが。
それをする理由は重大。
だけど、事なかれ至上主義を決め込み。
見て見ぬふり、無関心を貫こうとした。
何れ、自分に戻ってくる。
それが、彼女の欲しいもの。
あるいは――。
テツガクちゃん
悪魔と契約した代償。
普段通りの面倒見のいいポリーさんでは。
得られなかった対価。
それを失ってしまう気がしたから。
誰だって痛みが消えるのなら。
そっちの契約書を選んでしまうかも。
ですが、最後には破り棄てた。
誰にだってそれはできます。
肯定
そう誰にだって。
アラン・パングボーン保安官が正しかった。
彼が信じたように。
昔、あの街は穏やかだったらしい。
それが静かに伝染し始めた。
1人の扇動者、街を信じる保安官を中心に。
彼は悪魔と取引しなかった。
何が欲しい? と訊かれても。
ありません、と答えた。
死んで当然の男では? と誘惑されても。
それでも間違っている、と自分の罪を認めた。
どんな悪魔でも。
取引しない人とは契約できない。
逆にどれほど古い契約も――。
新しい契約主の前では白紙だ。
悪霊と契約するよ。
いいや、ずっと昔にしたのかも。
忘れてしまうほど昔に。
邪神天照の事なかれ至上主義は。
吸血鬼の愚者の僕には耐え難い。
邪神天照には望み通りの無関心を。
我が愛しのワガママ娘に全てを注ぐ。
今の僕が信じずにはいられない夢関心を。
これこそ聡明なちいさんの。
影送りで夢返し。
犬に噛まれた兎。
それを黙って眺めている。
その集団には見えない。
目には見えないウサギが。
おずおずと……。
爆発が――。
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