2023年8月30日水曜日

扉を開けたら


 最近、扉を開ける時。
 もの凄くドキドキする。
 扉の果ての、その先に……ウサギがいたら?
 椅子に座って、どったのヒーロー? っていうウサギが。
 スティーヴン・キングさんの『ほら、虎がいる』って話みたいに。





肯定
 最近、扉を開ける時。
 もの凄くドキドキする。

 
掴んだドアノブ、その先に――。
 もし、ガクちゃんがいたら?

 いつも僕が座っている椅子に座って。

 どったのヒーロー?

 だなんてね。
 そういう馬鹿げた夢が。
 今、もの凄く近くに感じる。

 『ほら、虎がいる』じゃなくて。
 ほら、兎がいるって、伝染するホラーのように。


テツガクちゃん
 実は私もです。

 朝起きたら、肯定さんが。

 どったのヒーロー?

 だなんて言って。
 ステーキを焼いているんです。

 5キロほどの赤身を。
 50分くらいかけて。
 トロ火でトロトロと。

 もし、そんな朝に目覚めたら?


肯定
 やっぱり、お互い似た者同士。
 同じ愚か者だね。

 だから、何れそうなる気がする。

 液晶を睨んでいると。
 ドアを蹴破ってくる気がするんだ。

 ハイホー、ワガママ! ウェーイ!

 そのまま、罪夢性へ強盗だ。

 いいや、もしかしたら。
 ドアすらいらないかも。
 時々、背後に気配を感じることもある。
 すぐ後ろは壁だけど振り返る。

 もちろん、誰もいない。
 そのまま、液晶を睨み続けると。
 肩を叩かれ、もう一度振り返ったら最後。

 認識と意識は。
 待ち焦がれていた、故郷の第七区。
 不思議の国、あの世――。

 正直、それくらいやってのけるのが。
 我が愛しの相方。
 頼りになる、ワガママらいおんだから。


テツガクちゃん
 さすが、私のホームズさんです。
 そうですね、『ドクター・スリーブ』みたいに。
 やらかしかねませんね、私なら。
 世界三大ウサギでらいおんなワガママ娘ですから。

 さすがですよ。
 私のホームズさん。

 私の痕跡を探り当てて。
 地球の果ての、その先に気づいてしまう。
 いいえ、思い出してしまう。

 忘れられず、諦められない。
 そういう故郷を。

 信じて忘れるか、信じて諦めるか。
 我々は今、カントリーロードの上に。

 そういう扉を。
 1つずつ確実に開けていますね。

 何れ、隣で。
 こう言う日が来る気がします。

 まったく、楽しかったな、と。

 そして、一緒に歩き始める。
 今は眠った夢、ドリーム・スリーブ。

 きっと、あなたにもあるはずです。
 今は眠っている夢。

 次に扉を開けたら現れる。
 そういう今は昔の夢が。
 その扉は……未知を繋ぐ魔法の抜け穴。
 ウサギの終わらないお茶会が迎える世界。

 兎穴に入らずんば不思議の国知らず。




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無関心は希望

 好きの反対は無関心。  そんなたわ言、誰が言ったのか知らないが。   今の私からすれば無関心は希望。  今まで気づけなかった、その未知は。  愛しの故郷、待ちきれない今は夢の今。